転職エージェントが無料で利用できる仕組み。すぐに退職したらエージェントに賠償しなくてはならない?

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非公開求人の紹介やキャリアの相談など、転職エージェントでは手厚いサービスをすべて無料で受けることができます。

転職エージェントは、企業からの紹介料で成り立っているので、求職者がお金を払う必要はないんですね。

でも、転職してすぐに辞めてしまったら、一体どうなるのでしょう?
企業にもエージェントにも迷惑が掛かりますから、損害賠償を請求されるかもと不安になる人もいるかもしれません。

しかし、安心してください。
仮にすぐに退職することになっても、求職者が賠償する必要はありません。

求人企業と転職エージェントは、不利益が起きた時の対処も契約に入っているので、すべてエージェント側が責任を負うことになっているからです。

ここでは、転職エージェントの裏側について紹介していきます。

転職エージェントのビジネスの仕組み

転職エージェントの一般的な流れとしては、以下のようになっています。

  1. 求人企業から欲しい人材のタイプをヒアリングする
  2. 求職者と面談をして、本人の希望とマッチしそうな企業を紹介する
  3. 企業の採用担当は、送られてきた書類で面接をするかどうかを決める
  4. 面接をした後、双方に問題が無ければ雇用契約を結ぶ

このような流れで、求職者の転職活動が進むわけですね。

そして、雇用契約を結んで入社が完了したら、企業から転職エージェントに紹介料が支払われます。

その金額としては、求職者の想定年収の30%前後が相場です。
年収400万円だとすれば、120万円ほどの手数料となりますね。

ただし、紹介料の金額は流動的となっており、大量採用の場合は一律で30万円など大幅に割引されることもあるようです。

また、特殊な専門職など希少性の高い人材であれば、想定年収の50%以上など高額になることもあります。

こういった感じで、企業から紹介料を受け取っているため、求職者に費用が請求されることはありません。

そもそも、職業安定法によって、求職者から手数料を徴収してはいけないと定められています。

有料職業紹介事業者は、前項の規定にかかわらず、求職者からは手数料を徴収してはならない。

第三十二条の三 第二項

参考:転職エージェントのビジネスモデル

転職エージェントは競争が激しい業界

過去の人材紹介ビジネスは、規制が厳しい業界だったので、大手の限られた企業しか参入することができませんでした。
しかし、1997年、1999年の規制緩和によって、港湾運送業務、建設業務を除くすべての職業を扱うことができるようになりました。

原則自由化されたことによって、それ以降、人材紹介会社の数は急激に増えています。
2005年の時点で許認可数が1万件を超えており、2015年には18,000件を突破しました。

これだけ参入が増えた理由としては、参入障壁の低さが大きいですね。
極端な話、携帯電話とパソコンがあれば始められるビジネスなので、初期投資がほとんどかかりません。

さらに、人材を1人紹介して100万円以上の手数料が発生するため、高い利益率が実現できるわけです。
掛かる経費は人件費くらいですから、かなり手軽なビジネスだと言えます。

競争の激しさから、サービス内容を拡充したり、差別化を行うエージェントも増えていますね。
転職が決まるまで徹底的にサポートしてくれる業者もいますし、特定の業種に特化して専門的なサービスを提供するエージェントもいます。

こういったサービスを無料で受けられるわけですから、求職者としてはかなりメリットが大きいといえるでしょう。
自分が満足するまで、徹底的に使い倒してください。

企業が高額な手数料を転職エージェントに支払う理由

先述の通り、企業が転職エージェントに支払う手数料は、紹介した人材の年収の30%くらいが相場となっています。
年収400万円なら120万円もの金額ですから、かなり高いと思いますよね。

なぜ、企業はこんな大金を支払ってまで、転職エージェントを利用するのか?
これは、誰もが気になることでしょう。

企業が転職エージェントを利用する理由は、大きく分けて2つあると思います。

  • 採用活動を効率化することができる
  • 非公開で募集できる

以上の2つですね。
順番に見ていきましょう。

採用活動を効率化することができる

実は、企業の採用活動は、かなりの時間と手間が掛かることなんです。

自社のホームページに求人を載せても、誰もが見てくれるわけではありません。
すぐに人材を集めたい場合、これでは間に合わない可能性が高いです。

一方、求人誌や求人サイトに広告を出すと、今度は逆に応募が殺到したりします。
転職目的の人が見ている媒体ですから、人気の企業だと数百件の応募が来ることも珍しくありません。

そうすると、応募書類の選考だけでも、かなりの時間が取られますよね。
しかも、面接まで行ったとしても、求める人材を採用できる保証が無いわけです。

求人媒体だと週に数十万円の費用が掛かるので、長く掲載するとそれだけ費用もかさんでいきます。

人材を採用することって、大変なんですね。

しかし、転職エージェントを利用すれば、それらの悩みは無くなります。
エージェントに希望する人材像を伝えておくだけで、それに見合った人材を探してきてくれるわけです。

的外れな人が応募してくることはなくなりますから、見込みのある人材だけを面接することができます。
成果報酬の手数料のため、面接で採用に至らなければ費用は発生しません。

人材を採用した時だけ払えばいいので、100万円以上の手数料でもトータルコストを安く抑えることができます。

採用活動を効率化するという面において、転職エージェントは無くてはならない存在です。

非公開で募集できる

また、非公開で求人を募集できるのも、企業からするとメリットですね。

たとえば、以下のような場合だと、求人を公開すると問題が出ることがあります。

  • 重役ポストを募集したい
  • 新規事業に伴う人材を募集したい
  • 性別・年齢を絞って募集したい

役員や管理職などの重役ポストを募集するときに、求人を公開してしまうと社内が混乱かもしれません。
現在の役員の退職や大規模な人事異動など、社内で変な噂が流れる可能性があります。

また、新規事業の求人が公開されると、ライバル企業に情報が洩れたりします。
業績にも影響しかねないので、こういった募集は一般の求人媒体に出しにくいですね。

他にも、法律上、求人広告に書いてはいけない項目などがあったりします。
性別や年齢に制限を設けることは、差別に繋がるので禁止されているんですね。

転職エージェントを利用すれば、非公開求人として秘密で人材を募集することができます。
上記のような場合でも、非公開で募集すれば問題は発生しません。

なので、ほとんどの企業において、転職エージェントを利用して非公開で募集するのは当たり前になっています。

すぐに辞めたら損害賠償を請求される?

エージェントを利用して、転職を成功させたとしましょう。
自分が理想とする会社に入れたなら、すごく嬉しいことですよね。

しかし、実際に入社してみると、イメージと異なっていることがあります。
入社前は良いところしか目に入りませんが、働いてみると嫌な部分も見えてくるものです。

もし、すぐに退職してしまったらどうなるでしょうか?

先ほどから説明しているように、企業は転職エージェントに多額の手数料を支払っています。
入社してすぐに辞めてしまったら、100万円以上の損害になるわけです。

この損害は、誰が賠償するのか気になりますよね。
自分に請求されてしまったら、とてもじゃないけど払えません。

安心してください。
短期間の退職で生じた損害は、すべて転職エージェントが賠償することになっています。

これは、企業とエージェントが契約した時に、「返金条項」や「フリーリプレイスメント」として定められているものです。

返金条項

転職エージェントが紹介して入社した人物が、一定期間(90日が通常)内に自己都合退職した場合、求人企業は手数料の返金を求めることができる。

90日以内に辞めた場合、手数料の50%が返金されるのが一般的ですね。
また、30日以内の退職だと、80~100%が返金されます。

大手のエージェントだと、返金期間を180日以内に設定していたり、契約内容はまちまちです。

フリーリプレイスメント

転職エージェントが紹介して入社した人物が、一定期間(90日が通常)内に自己都合退職した場合、無償で新しい人材を紹介すること。

返金するのではなく、別の人材を無償で紹介する場合もありますね。

企業からすると人材を確保できますし、エージェントは売上を失うことはありません。
双方にとって、WIN-WINの保証内容だといえます。

このように、いかなる場合であっても、求職者が賠償責任を負うことは無いですね。

ただし、安易な気持ちで退職してしまうと、色々な人に迷惑を掛けることになります。
短期間の退職は自分のキャリアにも傷が付きますから、ちゃんと責任をもって働くようにしてください。

退職した後に再登録は可能なのか?

短期間で退職した後に、また同じエージェントでサポートしてほしいと思うかもしれません。
特に、相性の良いアドバイザーと出会えたのであれば、その人に任せたいと考えますよね。

しかし、短い期間で退職した場合だと、注意が必要です。

「また辞められたら困る」という思いがエージェントにあるため、サポートしてもらえるかは分かりません。
信頼性が低いと判断されると、再利用を拒否されることもありますね。

なので、どうしてもサポートしてもらいたいなら、明確な目的意識を示さなくてはいけません。

  • 将来は○○という目的を達成したい
  • すぐに辞めてしまったのは、●●という問題があったから

論理的に整合性の取れた主張ができれば、受け入れてもらえる可能性はあります。

転職エージェントも人間ですから、ちゃんと誠意を見せることが大切です。
迷惑を掛けたことを素直に謝罪して、もう一度サポートしてほしいという熱意を伝えるようにしてください。

あなたの本気度が伝われば、また求人を紹介してもらえるでしょう。

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リクルートエージェント

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業界最大手のリクルートエージェントです。
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保有している求人の90%が非公開となっており、その数は10万件以上です。
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また、キャリアアドバイザーの質が高いのも特徴ですね。
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特徴としては、20~30代の転職サポートに強いことですね。
首都圏や関西エリアだけでなく、名古屋や福岡、札幌などにも拠点があるため、全国の求人に対応しています。

業界ごとに専任のキャリアアドバイザーがいるので、専門的な情報を得ることができるでしょう。
また、企業の人事担当者とやりとりするアドバイザーもいますから、職場ごとの雰囲気なども掴むことができます。

かなり評価の高いエージェントなので、登録しておいて損はありません。

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