転職活動で内定をもらうためには、少しでも良い印象を与えて仕事ができる人間だと思ってもらう必要があります。
そのために、上手く自己アピールできるように工夫をするわけですね。
でも、特に目立った経歴もなく差別化できない人は、どのようにアピールすればいいか分かりません。
そこで、偽りの経歴を語ることで、自分を大きく見せようとする人がいます。
最近は、インスタグラムなどのSNSで“盛った写真”を撮る人が多いですが、それを転職活動でもやってしまうわけです。
これは立派な経歴詐称ですから、絶対にやってはいけません。
内定後にバレると、内定取り消しや解雇になるので注意しましょう。
ここでは、経歴詐称のリスクについて解説をします。
目次
経歴詐称とは何なのか?
経歴詐称とは、自分の学歴や経歴、持っているスキルなどを偽ることです。
転職活動では大なり小なり誇張した表現を使いがちですが、完全に嘘の情報を言ってしまうと経歴詐称となってしまいます。
「ちょっとくらい嘘をついても大丈夫だろう」という軽い気持ちでやってしまう人が多く、求人を募集する企業も困っているようです。
経歴詐称で話題となったのが、2016年にスクープされたタレントのショーンKさんですね。
テンプル大学出身で、ハーバードビジネススクールでMBAを取得するなど、輝かしい経歴でテレビに出演していましたが、これらが全て嘘だったわけです。
世間的に大バッシングを受けて、活動休止に追い込まれました。
さすがに、ここまでの詐称はしないと思いますが、持っていない資格を履歴書に書いたり、転職回数を少なめに申告するといった人は多いでしょう。
後でバレると大きな問題に発展する可能性があるので、気を付けるようにしてください。
経歴詐称について厳しく調べる業界
実際のところ、経歴を詐称しても気にしない会社も多いです。
人材の判断は面接で行うので、そこでの受け答えに問題が無ければ採用するといったケースですね。
でも、業界によっては、かなり厳しく応募者の経歴を調べることがあります。
外部の調査会社を使ったりすることもあるので、ささいな嘘であっても簡単にバレてしまうでしょう。
たとえば、以下のような業界・業種です。
- 金融業界
- 証券業界
- 警備業界
- 管理職クラスの経理職
- 法律業界
やはり、お金や法律などを扱う業界では、経歴を厳しくチェックするようです。
信用が求められる仕事内容なので、経歴に嘘をつくような人だと仕事をする上で困るからですね。
こういった業界を目指すのであれば、自分の経歴については嘘偽りなく正直に申告するようにしましょう。
よくある経歴詐称のパターン
転職回数
最も多いパターンとしては、転職回数を少なめに申告することです。
一般的に、転職回数が多いほど評価が下がりがちなので、短期間で辞めた会社などは応募書類に書かないということですね。
たとえば、5回の転職をしていたとしたら、3回と申告したりします。
辻褄を合わせるために、他の会社の在籍期間を引き延ばして、空白期間が無いような工作をする場合もあります。
これは、罪悪感が無くやっている人も多く、経歴詐称だと考えていない人も少なくありません。
実際、ハローワークの相談員なども、期間の短い職歴は省略するようにアドバイスする人がいるようです。
ただ、これも立派な経歴詐称ですから、やらない方が望ましいでしょう。
仕事内容
中途採用だと実務経験を求める場合が多いですが、それに対応させるために経験年数などを盛るケースが多いですね。
本当は1年しか経験していないのに、「3年の経験あり」などと書くわけです。
もっとひどいケースだと、未経験なのに経験者として応募する人もいます。
明らかに経験が不足していると、実際の業務に入ったときにボロが出るので注意しないといけません。
ただ、「経験あり」といっても、その判断が難しいこともあります。
アシスタント的な役割でも一応は経験しているわけですし、スキルの習熟度に関しては個人差があるわけです。
強引に経験者と言えなくない場合もありますから、一概に経歴詐称に値しないケースも少なくないでしょう。
資格
持っていない資格を履歴書に書くパータンですね。
無資格で仕事をするようになると、その企業が罪に問われる可能性があるので大問題に発展するケースがあります。
日産やスバルでも、自動車の無資格検査が発覚して社会問題になりました。
たまに、医師や教師などでも無資格で働いていたというニュースが流れたりしますね。
また、TOEICやTOEFLなどで、点数を高く申告するケースもあります。
こういったところで見栄を張っても、後で恥をかくことになるのは自分です。
資格が無いままで仕事をすると、大きな事故が発生した時に刑事事件になるかもしれません。
取り返しのつかないことになる可能性があるので、十分に気を付けましょう。
年収
前職の年収を高めに申告するパターンですね。
中途採用では、年収を決める時に前職の年収を基準にすることが多いです。
なので、少しでも高い給料をもらうために年収を偽る人がいます。
でも、源泉徴収票を見れば一発でバレてしまうので、やめておいた方が良いでしょう。
入社後に発覚すると、年収を引き下げられたり、解雇されるかもしれません。
学歴
大学名を偽ったり、高卒なのに大卒などと申告するパターンですね。
浪人や留年を隠すために、入学や卒業時期を変更することも含まれます。
ただ、中途採用で学歴は重要視されませんから、ここで詐称してもあまり意味がないかもしれません。
社内に詐称した大学出身者などがいたりすると、会話の中で嘘が発覚してしまうリスクが高いです。
リスクの割に効果は薄いですから、やらない方が良いでしょう。
雇用形態
契約社員や派遣社員だったのに正社員だと言ったり、正社員を短期で辞めたときに契約社員だと偽装するパターンです。
正社員と非正規雇用だと業務の範囲が異なるので、スキル面にも影響してくることになりますね。
即戦力だと思って採用したのに役立たたずとなってしまうと、会社に居づらくなってしまうでしょう。
役職・階級
マネジメント経験ありなどと偽って、幹部候補の求人へ応募するパターンです。
実際に管理職をしていても、チームの規模や部下の人数などを詐称することもありますね。
管理職の求人は求められることが大きいため、経歴詐称に関しては厳しくチェックされる可能性が高いです。
前の職場に電話で確認されることもあるので、嘘をついてもすぐにバレてしまうでしょう。
病気
持病があって休職した経験があるのに、それを隠してしまうパターンです。
特に、精神疾患などがあると転職では不利になるので、隠そうとする人が多いですね。
病歴については、聞かない企業も多いので詐称する必要はないかもしれません。
でも、聞かれたのであれば、正直に答えるべきでしょう。
精神疾患は再発の可能性が高いですから、今は治っていても入社後に症状が出てくる可能性も考えられます。
入社してすぐに休職となったら会社に迷惑が掛かるので、聞かれたら正直に伝えるようにしてください。
経歴詐称がバレてしまう理由とは?
詐称がバレてしまうケースは様々なので、一概には説明できません。
ちょっとした日常会話の中でボロが出ることもありますし、書類を提出した時にバレることもあります。
最初から嘘をつかないことが一番ですが、よくある詐称が発覚するケースを知っておいてください。
面接中に話に矛盾が出てしまう
採用担当者との面接中に、ボロが出てしまうことがありますね。
履歴書や職務経歴書に書いた内容について詳しく聞かれているときに、答えられないと怪しまれてしまうでしょう。
未経験なのに経験者として応募していると、仕事について聞かれたら上手く回答できませんよね。
知っておくべき知識がないことで、経験を偽っていることがバレてしまいます。
また、大学名を偽って応募しているときに、面接官がその大学出身者だったというケースも聞いたことがあります。
お互いの共通点である大学について話が及んでしまうと、会話が噛み合わなくなって不自然になるでしょう。
適当に嘘を並べていると応募書類に何を書いたか忘れてしまうので、面接中の会話と整合性が取れなくなることもありますね。
リファレンスチェックをされる
リファレンスチェックとは、採用担当者が前の勤務先に連絡をして、経歴に相違がないかどうかを確認する作業です。
役職や仕事内容、年収など、あらゆることをチェックされますね。
個人情報保護の観点から情報を出さない企業が多いですが、何でも洗いざらい話してしまう企業もあるようです。
社内でトラブルなどを起こしていたら、そういった情報も共有されてしまいます。
外資系企業では当たり前にやっていることですが、最近は日系企業でもリファレンスチェックをすることが増えているようです。
退職時に上司と揉めていたりすると、嫌がらせに変なことを言われるかもしれません。
なので、辞めるときには円満退社を心がけるようにしましょう。
入社時の手続き関係で発覚する
転職先に入社すると、雇用契約を結ぶための手続きを行います。
社会保険や雇用保険の手続きをしたり、源泉徴収票や年金手帳を提出した時に経歴詐称がバレるかもしれません。
まず、雇用保険被保険者証には前の会社名が記載されているので、会社名を偽っていたならバレてしまうでしょう。
年金手帳には、初めて勤務した会社名が記載されていますから、最初の会社名を偽っていれば年金手用によって発覚してしまいますね。
また、源泉徴収票からは年収が分かるため、年収の詐称は一発でバレてしまうわけです。
さらに、1年以内に入社と退職をした場合には入社日と退職日も記載されますので、数ヶ月だけの職歴も発覚しますね。
企業同士の繋がりによって発覚する
意外と多いのが、以前の職場とのつながりで発覚するケースです。
同じ業界であれば、企業同士の付き合いがあったりするので、その際に詐称がバレることも少なくありません。
- 転職先の上司が前の職場の上司と知り合いだった
- 前の職場に営業へ行くことになった
- 業界の勉強会で前職の同僚と鉢合わせた
こういった状況がありますから、同じ業界での転職では注意しましょう。
取引などで企業同士が繋がっていることはよくありますから、自分の噂が広まってしまうことも珍しくないでしょう。
詐称が見つかって悪い噂が流れると、業界にいられなくなるかもしれません。
経歴詐称がバレるとどうなるの?
今まで経歴詐称のケースについて見てきましたが、実際に詐称がバレてしまったらどうなるのでしょうか。
経歴を偽って入社した場合は、労働契約法違反になりますが刑事罰に問われることはありません。
ただ、入社前だと内定取り消し、入社後だと解雇になるでしょう。
企業は莫大なコストをかけて採用活動をしているので、詐称が発覚すると今までの苦労が無駄になってしまいます。
特に、詐称した人に内定を出したことで、他の応募者を不採用にしていたら大問題です。
最初から募集をやり直す必要があり、損害賠償を請求されるかもしれません。
嘘をついて採用されても、いつバレるか分からないままで働くのは辛いでしょう。
いつもビクビクしながら仕事をすることになり、そんな状態だと長く勤めるのは難しいですよね。
積極的に作業に取り掛かれませんし、スキルアップにも繋がらないと思います。
経歴詐称は、自分にとっても企業にとっても損失なので、絶対にやらないようにしましょう。
以上、転職における経歴詐称について解説をしました。
せっかく時間をかけて転職活動をしても、内定が取り消されてしまったら意味がありません。
なので、詐称しなくても良いように、スキルを磨くか効果的なアピール方法を覚えるようにしてください。