競合他社への転職は裏切りか?同業他社への転職を成功させる4つのポイント

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転職活動をするときに、今の会社とライバル関係にある企業が候補に挙がることがあります。
同業者だと自分のスキルや経験を活かすことができるため、高く評価してもらえる可能性が高いです。

でも、会社によっては同業他社への転職を禁止していることがあるので、後でトラブルになってしまうかもしれません。
下手をすると裁判沙汰になるケースもあるので、十分に注意しましょう。

ここでは、競合他社へ転職するときのポイントを解説していきます。

競業避止義務とは何か?

日本国憲法においては、「職業選択の自由」が定められており、転職の自由が制限されることはありません。
だから、ライバル企業へ転職したとしても、それは問題視されないでしょう。

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

引用:日本国憲法 第22条 第1項

ただし、会社の立場からすると、自社の重要な秘密や技術がライバル企業へ流出してしまうと問題が出てきます。
類似の商品・サービスを作られることで、損失が出てしまいますよね。

それを避けるために、退職時に契約書に署名させて、「競業避止義務」という規定に同意させることがあります。

競業避止義務とは、競合他社に転職したり競合する事業を起業したりして、会社の機密情報を流用してはいけないという義務のことです。

在職中は競業避止義務が認められますが、退職後には別に契約書を交わすことで競業避止についての合意が必要となります。

大企業であれば、競業避止義務による制限があるのが当たり前でしょう。
契約書にサインしていたり、競合他社へ行かない見返りとして退職金を多めにもらっていたりすると、法的に有効性が認められることが多いです。

ただ、契約の期間や競合他社の定義、損害の大きさや秘密の程度など、多角的な視点から判断されるので、同業転職のすべてがダメとは言い切れません。

守秘義務違反にも注意する

競業避止義務と似たような制限として、「守秘義務」があります。
守秘義務とは、会社の機密情報を漏らしてはいけないという義務のことで、契約書にサインすると退職後も情報の管理を求められるわけです。

競合他社に転職していなくても、顧客データや企業秘密事項などを漏えいするだけで、不正競争防止法違反で裁判を起こされるかもしれません。
刑事罰もあり、10年以下の懲役または、1,000万円以下の罰金となります。

たとえば、転職面接の際に、自己アピールとして前職の情報を漏らすといったことがありますね。
仮に選考で落とされたとしても、情報を漏えいした時点で守秘義務違反に問われる可能性があるわけです。

うっかり秘密を漏らさないように、十分に注意しないといけません。

ライバル企業への転職で損賠賠償を請求されるのか?

仮に、競業避止義務の契約を交わしているのにライバル企業へ転職した場合、前の会社から訴えられることがあります。

前の会社の訴えが認められると、以下のような請求が行われますね。

  • 競業行為の差し止め
  • 受けた被害に対する損害賠償
  • 退職金の一部または全額の返還

転職した会社にも迷惑を掛ける可能性があるので、気を付けるようにしましょう。

ただし、競業避止義務を負っていたとしても、必ずしも競合他社への転職がダメということにはなりません。

ライバル企業へ転職したとして、前の会社の利益が侵害されていることが認められなければ、問題にはならないわけです。
仮に裁判で訴えられたとしても、無効になる可能性が高いでしょう。

裁判では、以下のポイントが争点となります。

  • 転職先での業務が競業になるかどうか
  • 前の会社に損害が生じたのかどうか
  • 競業禁止の期間や地域は適切であるかどうか
  • 退職金の上乗せなどの代償があったかどうか

転職先での業務が競業になるかどうか

そもそも、転職先での業務が競業になるかどうかは、非常に重要なポイントですね。
同じ出版業界であっても、営業職と編集職だと業務内容が全く異なります。
これで競業避止義務に該当するかどうかは、かなり微妙なところでしょう。

同業者だとしても、ターゲット層やコンセプトが異なるため、全く同じ業務内容であることは少ないはずです。
競業関係が認められることは、そこまで多くありません。

前の会社に損害が生じたのかどうか

競業関係にある業務だとしても、明確な損失が認められなければ有効とは言えません。
単に競争力が下がっただけだと、転職者が悪いことにはなりませんよね。

「転職者が機密情報やノウハウを流出させたことで前の職場に損害が生じた」という具体的な証拠が必要になります。

裁判で認められるほどの証拠を見つけるためには、かなり長期間の調査が必要になるはずです。
一般社員の転職でそこまで面倒なことはしないでしょうから、よほどのことが無い限り裁判まで起こされることは無いでしょう。

競業禁止の期間や地域は適切であるかどうか

競業避止義務の契約をする際には、期間や地域を限定する必要があります。
たとえば、「都内の競合他社への転職を1年間禁止する」といった感じですね。

無制限に禁止すると「職業選択の自由」に反することになるため、何らかの制限を設けなくてはいけません。
「全国の競合他社への転職を永久に禁止する」といった契約だと、認められることは無いでしょう。

退職する際に契約書を詳細にチェックして、どこまでの制限があるかを確認しておくことをおススメします。

退職金の上乗せなどの代償があったかどうか

競業避止義務の契約をする際に、退職金の増額などの見返りを用意する企業は多いです。
「これだけの報酬を出すから、ライバル企業へは行かないでね」といった約束事をするわけですね。

企業が何かしらの代償を支払っている場合、競業避止義務契約の合理性は高くなります。
報酬をもらった時点で、退職者も義務を認めたことになるからです。

逆にいうと、契約書にサインしただけで代償が無かったら、契約の合理性が低くなるということですね。
なので、退職時には退職金の内訳を確認するなど、会社からの見返りがあるかどうかを確認してください。

一般社員クラスで訴えられるケースは少ない

先述の通り、競業避止義務違反で訴えられるのは、かなり限定的な場合においてのみだということが分かると思います。
普通の一般社員クラスにおいて、損害を与えるほどの機密情報を持っていることは少ないですよね。

裁判沙汰になってしまうのは、有力な情報を持っている役員や幹部クラスの限られた人だけでしょう。
実際の裁判例を見ても、訴訟されているのは50~60代の部長以上の管理職が中心ですね。

30代以下の若手で裁判になるケースは少ないですから、過剰な心配をする必要はないかもしれません。

といっても、内部情報をベラベラ話すのは、転職先からも口が軽い印象を与えてしまいます。
「自社の情報も簡単に漏らすかもしれない」と警戒される恐れがあるので、不必要なことは話さないようにしてください。

競合他社への転職で訴訟を起こされないための4つのポイント

転職先の情報は誰にも言わない

会社を辞めるときに転職先が決まっていても、その会社名は絶対に言わないようにしましょう。
仲の良い先輩や同僚でも、転職先の情報は伝えてはいけません。

自分に情報を流出する気が無くても、周りが勝手に騒ぎ出す可能性があります。
変な疑いを掛けられてしまうと、転職先に問い合わせをされたり、嫌がらせをされるかもしれません。

何の得にもなりませんから、転職先の情報は伝えないようにしましょう。

競業避止義務違反の証拠を残さない

裁判で訴えるためには、明確な証拠がないといけません。
だから、競業避止義務違反を疑われるような証拠は、一切残さないようにしてください。

たとえば、顧客リストや社外秘の書類を外部ストレージに保管したり、職場のメルアドから個人のメルアドに情報を転送したり、取引先の名刺を持ち帰るといった行為です。

これらは物的な証拠が残ってしまうので、後で裁判を起こされる根拠になってしまいます。

逆にいうと、競業避止義務違反をしていても、証拠が無ければ裁判を起こされる心配はないということです。
自分の頭の中の知識や習得したスキルを活かす分には、客観的な証拠として残りません。

なので、「会社の資産を外部に持ち出したと」いう根拠を残さないように、細心の注意を払うようにしましょう。

競業避止義務の契約書にサインをしない

競業避止義務に厳しい会社は、退職時に契約書にサインをさせようとします。
でも、サインをする義務はありませんから、拒否しても構いません。

断りづらい雰囲気だった場合は、「ゆっくり考えます」と伝えて家に持ち帰るようにしてください。
別の日に、さりげなく「サインはできません」と伝えましょう。

どうしても強要されるようなら、弁護士に相談することをおススメします。

やむを得ずサインをしてしまったとしても、よほどの事情が無ければ裁判を起こされることはありません。

先述の通り、競業避止義務違反に問われるのは、重要事項を知っている役員クラスが大半です。
一般の平社員が問題視されるケースは少ないので、あまりに気にする必要はないでしょう。

可能な限り円満な退職を目指す

退職をするときには、揉め事を起こさないようにしてください。

会社を辞めようとすると、上司から強く引き留められたり、退職届の受け取りを拒否されるかもしれません。
でも、そういった時にも、できるだけ穏便に解決できるように努力をするべきです。

同業転職をすると、いつどこで前職の人間に会うかわかりません。
取引先がカブっていたり、勉強会や業界セミナーなどで鉢合わせるなど、何かとつながりがあったりします。

会社が吸収合併されて、前の上司や先輩と同じ職場になるなんてこともあるようです。

退職時に関係性が悪くなったら、何かしらの邪魔をされたり、不必要な詮索をされることもあります。
競業避止義務を守っているのに、でっち上げで疑いをかけられるかもしれません。

そういったリスクを防ぐためにも、円満な退職を心がけてください。

以上、競合他社へ転職するときの注意点を紹介しました。

普通の常識をもって転職をすれば、問題になることは無いでしょう。
悪意をもって前職の情報を流すのは倫理的にもダメなので、絶対にやらないでくださいね。

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