会社都合退職と自己都合退職の違いとは?失業保険に大きな影響があります

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会社を辞める時に知っておくべきなのが、「会社都合退職」と「自己都合退職」についてです。
どちらも同じ退職なのですが、その扱いは大きく異なります。

失業保険の受給額が変わったり、今後の転職活動に影響したりするんです。
ちゃんと理解したうえで会社を辞めなければ、あとで後悔することになるかもしれません。

ここでは、会社都合退職と自己都合退職の違いについて紹介します。

会社都合退職とは何か?

会社都合退職とは、会社側の事情により、一方的に労働契約を解除するケースです。
たとえば、会社が倒産した時やリストラで首を切るような場合ですね。

他にも、希望退職制度を利用した人やセクハラ・パワハラなどで辞めざるを得なかった人も、会社都合退職としてみなされます。

メリット

  • 失業手当で優遇される
  • 国民健康保険税の減税措置がある
  • 会社から「解雇予告手当」がもらえることがある

まず、会社都合退職の最大のメリットは、失業手当で優遇されていることです。
「特定受給資格者」という扱いとなるので、特別な優遇措置を受けることができますね。

ハローワークに離職票を提出後、7日間の待期期間があり、その約1ヶ月後に給付金が支給されます。
自己都合退職だと3か月ほど掛かるので、早くお金をもらえるのは嬉しいことですね。

そして、給付期間も長く設定されていて、最大で330日まで給付金を受け取れます。
自己都合退職の2倍以上の期間があるので、すぐに仕事ができなくても安心でしょう。

退職後には、健康保険の切り替えをしないといけません。
でも、国民健康保険料は、前年の所得から計算されるので、仕事をしていないと負担が重くなってしまいます。

そこで、国民健康保険に加入するのであれば、国民健康保険税が最長で2年間軽減される措置があるんです。

雇用保険受給資格者証に、専用のコードが記載されていると軽減措置の対象となります。
離職理由の欄に、以下のコードがあるかを確認しましょう。

特定受給資格者 11.12.21.22.31.32
特定理由離職者 23.33.34

また、会社から「解雇予告手当」という特別な手当てをもらえることがあります。

会社が従業員を解雇するためには、30日以上前に解雇を通知する義務があるんです。
でも、その通知がなかった場合、解雇予告手当を受け取ることができます。

デメリット

先述のとおり、会社都合退職だと失業保険の給付において、相当なメリットがあります。
失業手当もすぐに支給されますから、次の仕事が決まっていなくても生活の心配はありません。

でも、だからといって、むやみに会社都合退職を選択しないでください。
会社都合の退職だと、転職活動において不利になる可能性があります。

倒産した場合なら仕方がないですが、リストラによる解雇だと能力に問題があると勘ぐられるからですね。

企業がリストラをする時には、問題のある社員から優先的に切っていきます。
営業成績が低い人や協調性のない人、勤務態度が良くない人など、不要な人間からクビにするわけです。

だから、会社都合退職の人が面接に来ると、警戒する企業は少なくありません。

失業保険で得をしても、転職が決まらなければトータルでマイナスですよね。
短絡的な思考で失敗しないために、よく考えてから選択を行ってください。

会社都合退職が適用される退職理由

どんな時に会社都合退職になるのかというと、以下のような場合があります。

  • 会社が倒産した
  • 1ヶ月に30人以上の離職予定、もしくは社員の3割を超える人の離職(リストラ)
  • 事業所が廃止された
  • 解雇された(懲戒解雇は除く)
  • 会社から退職を勧められた(退職勧奨)

自分の意思ではなく、やむを得ず退職することになったという状況ですね。
本人に過失がないのに職を失うのは不本意なので、そういった場合には一定の優遇措置を取りましょうということになります。

また、自己都合で退職しても、あとで会社都合に変更できるケースもあります。

  • 事務所の移転により通勤が難しい
  • 給与や業務内容などの労働条件が契約と大きく異なる
  • 月の残業が45時間以上で、それが3ヶ月以上続いた
  • 給与が支払われない
  • 不当に給与が減額された
  • セクハラ・パワハラ・いじめなどの被害に遭った
  • 更新予定だった契約内容を反故にされた
  • 業務内容が大きく変更された
  • 会社都合の休職命令が3ヶ月以上続いた
  • 会社は違法行為を犯した

上記の条件に該当する場合は、ハローワークに相談すれば会社都合退職に変更してもらえるかもしれません。
この場合は、「特定理由離職者」となり、特定受給資格者と同等の優遇を受けられるでしょう。

ただし、厳しい審査がありますから、明確な証拠を提出する必要があります。
労働契約書や給与明細、上司との会話の録音記録など、客観的に判断できる証拠を集めておきましょう。

会社から退職願や退職届の提出を求められたら注意!

会社都合退職の場合、退職願や退職届を出す必要はありません。
なので、会社からそれらの提出を求められたら、断るようにしましょう。

悪質な企業だと、従業員に退職願を出させて、自己都合退職の扱いとして処理することがあります。
なぜなら、会社都合にすると、助成金の停止や企業ブランドの低下など、企業側にデメリットがあるからです。

ただ、事務処理上の理由として、退職願を提出させる場合もあります。
その際には、会社都合退職であることを確認して一筆書いてもらったり、会話内容を録音しておいてください。

万が一、自己都合にされたとしても、ハローワークで主張することができます。
こういった時のために、証拠を残すことが大切なんですね。

自己都合退職とは?

自己都合退職とは、自分の意思で退職を決意して会社を辞めるケースです。
仕事が嫌になったり、他にやりたいことが見つかったりなど、大抵の場合は自己都合退職となります。

また、大きな問題を起こして懲戒免職になった場合も、自己都合退職として扱われますね。

メリット

自己都合退職のメリットは、自分の意思で辞めるので柔軟な予定を立てられることです。

会社都合のように突然解雇という形ではありませんから、自分のキャリアプランに基づいて転職活動を行うことができます。

仕事をしながら転職活動しても良いですし、会社を辞めてから転職先を探したり、何をやっても自由です。

デメリット

  • 失業保険で3ヶ月の準備期間がある
  • 退職金が下がる傾向にある

自己都合のデメリットは、退職後の収入が無くなってしまうことですね。

失業保険において、「一般受給資格者」という扱いとなります。
なので、給付が始まるまでに3ヶ月の準備期間があるわけです。

その間は無収入となってしまため、貯金もなく転職先も決まっていないなら生活することができません。

ちゃんと計画を立てているなら良いのですが、何も考えずに勢いだけで退職してしまうと痛い目にあうでしょう。

また、退職金がある会社に関しては、自己都合退職だと支払額が下がるのが一般的です。
同じ年数だけ働いたとしても、会社都合退職より金額は少なくなりますね。

会社には退職金の支払い義務はなく、就業規則で規定されている場合にのみ支払うことになっています。
金額は会社が決めることですから、不満があるなら交渉してみても良いかもしれません。

会社に勧められた退職は自己都合になる!

企業からすると、正当な理由なく従業員を解雇することはできません。
なので、首を切りたい時には、巧妙な手口を使って退職を勧めてくることがあります。

「向いてないから辞めたらどう?」などと直接的に諭されたり、追い出し部屋などに異動させて自主退職を促すなどの例ですね。

これは、「退職勧奨」と呼ばれるもので、会社都合退職とはなりません。
会社から退職するように誘導されていますが、あくまでも自己都合退職という扱いになるわけです。

退職勧奨とは、会社が労働者に対し「辞めてほしい」「辞めてくれないか」などと言って、退職を勧めることをいいます。
これは、労働者の意思とは関係なく会社が一方的に契約の解除を通告する解雇予告とは異なります。

引用:厚生労働省

これだと、失業保険で不利になってしまうので、気を付けるようにしてください。

退職勧奨においては、それに従う義務はありません。
従業員には拒否する権利がありますから、その会社で働きたいのであればキッパリと断ることが大切です。

もしも、無理に辞めさせられてしまったなら、先述の通りハローワークで特定理由離職者という扱いにしてもらうことができます。

不当に退職を強要されそうになった場合は、その証拠を集めておくことをおススメします。

会社都合と自己都合との決定的な差とは何か?

もうお分かりかもしれませんが、会社都合と自己都合の最大の違いは失業保険にあります。
支給が開始する日や給付日数、最大支給額など、かなり大きな差が出てくるでしょう。

また、国民健康保険税の軽減などもあるので、場合によっては数百万円以上の損をするかもしれません。

詳しくは、以下の表を参照してください。

会社都合退職 自己都合退職
最短支給開始日 7日後 3ヶ月と7日後
給付日数 90~330日 90~150日
最大支給額 約260万円 約118万円
給付の制限 なし あり
国民健康保険税 最長2年間の軽減 通常の納付

他にも、退職金を出す企業の場合だと、支給額に差が出ることがありますね。
一般的には、会社都合退職の方が、多くの退職金を受け取ることができます。

会社によって変わりますから、詳しくは就業規則を確認しましょう。

自己都合退職にしてもらう方が良い場合もある

会社都合で退職すると色々なメリットがありますが、将来を考えるなら自己都合で辞めた方が良い場合もあります。

それは、転職活動に関する問題ですね。

会社都合退職とだとリストラで切られた人間というレッテルを貼られることがあり、マイナスの印象を持つ企業は多いです。

転職活動において、思わぬ足かせになるかもしれません。
倒産などの事情なら別ですが、それ以外の理由だと敬遠されることがありますね。

思うようなキャリアを歩めなくなる可能性があるので、会社都合で辞めることになったら、自己都合に変更できないか相談した方が良いでしょう。

長い目で見た時に、どっちが得なのかをよく考えるべきだと思います。

基本的には転職先を見つけてから退職するべき!

会社都合退職と自己都合退職の違いについて説明しましたが、会社を辞めるのであれば転職先を見つけてからにしましょう。

「失業保険をもらいながら転職活動しよう♪」などと考えていると、思った以上に仕事が決まらずに離職期間が続くことになりがちです。

無職の期間が長くなると、問題がありそうな人間だと思われるので、なかなか仕事が決まらなくなります。
すると、また離職期間が延びるという悪循環になるでしょう。

これを防ぐためには、先に転職先を決めてから退職することが大切です。

ただ、仕事が忙しくて転職活動ができない人もいるでしょう。
求人を探したり、履歴書を書いたり、面接を受けたりなど、転職活動ではやることが非常に多いです。

時間に余裕がない人は、転職エージェントを利用してください。
専任のキャリアアドバイザーが付いてくれるので、転職活動での作業を全般的に代行してくれます。

サポート内容としては、以下の通りです。

  • 将来のキャリア相談
  • 求職者の条件に合う求人の紹介
  • 企業に合わせた応募書類の作成・面接対策
  • 面接スケジュールの調整
  • 給与や待遇などの条件交渉
  • 面接結果のフィードバック

つまり、キャリアアドバイザーに要望を伝えるだけで、求人を探してくれて応募から面接日程の調整までやってくれるわけです。
自分でやることは、面接を受けに行くことだけなんですね。

平日の夜間や休日などでも面接を設定してくれるため、忙しい人でも問題なく転職できるでしょう。
自分一人で活動するよりも圧倒的に効率が良いですから、積極的にエージェントを利用するべきですね。

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