派遣社員などの非正規雇用で働く人は、契約の期限があるために雇用が保障されているわけではありません。
「派遣切り」という言葉があるように、不景気になると真っ先に解雇されるのは派遣社員などの非正規労働者です。
特に、30代以降だと派遣社員でも働き口が少なくなってきますから、非正規雇用では安定して生活をするのが難しくなるでしょう。
ただし、やみくもに正社員を目指して転職活動をしても、上手くいかないことが多いです。
非正規労働者に対する企業側の目は厳しいものがありますし、即戦力として期待されなければ内定が決まることはありません。
派遣社員を長く続けるほど正社員への道は遠くなるので、安定した生活のために一刻も早く動き出す必要があるでしょう。
ここでは、派遣社員から正社員になるための方法を紹介します。
目次
派遣社員と正社員の待遇は異なる
給与や待遇は人材派遣会社との契約で決まる
まず、派遣社員と正社員は大きく何が異なるのでしょうか。
一番大きいところとしては、待遇が大きく異なります。
大前提、派遣社員の場合、給与や待遇は人材派遣会社との契約で決まります。
同じ会社で働いている正社員はその会社との契約にはなりますが、派遣社員は実際に働いている会社との契約は結んでいないんですね。
そのため、給与や待遇は契約した派遣会社によって決まられており、実際に働く企業の従業員とは異なる条件であることが多いです。
有期雇用なので雇用が安定しない
正社員は企業との無期雇用ですが、派遣社員は派遣会社との有期雇用です。
有期雇用の場合は、契約上、その雇用期間が切れたら契約を必ずしも結び直すとは限りません。
契約が切れれば別の派遣先を紹介してもらえますが、数年おきに職場を転々とすることになるのは精神的なストレスが大きいです。
通勤場所が遠くなることもありますし、人間関係の問題が生じることもありますね。
また、不景気で需要が無くなったら切り捨てられて終わりなので、雇用が安定しないというデメリットもあるわけです。
能力が低ければ仕事を外されることがある
派遣社員は、仕事に対して能力が低ければ、簡単に仕事を外される可能性があります。
正社員ならじっくり教育して育てようという発想になるのですが、派遣社員は即戦力だけが求められるのです。
次の月からその職場に来なくていいという戦力外通告を出されるので、急に職を失ってしまうかもしれません。
もちろん、能力に応じた仕事を紹介されますが、真剣に取り組む意思がないと継続して働くことは難しいといえるでしょう。
数合わせでの雇用なので重要な仕事は任せられない
そして、派遣社員の多くは数合わせでの雇用なので重要な仕事は任せられません。
簡単な入力作業や接客対応など、シーズン的に増えてしまう事務処理などに回されることがほとんどです。
そのため、大したスキルも身につかず、キャリアアップが難しくなってしまいます。
派遣社員と正社員とでは、同じ年数だけ働いても身に付くスキルに大きな差があるわけです。
高度な仕事に挑戦したいと思っていても、派遣社員である内はチャンスすら与えてもらえません。
派遣社員にもメリットはある
派遣社員のデメリットばかりお伝えしてきましたが、実はメリットもあります。
ライフスタイルによっては、派遣社員の方が良い場合も多いですから、メリットについても理解しておきましょう。
時給だと正社員よりも高くなることが多い
1つは、時給だと正社員よりも高くなることが多いことです。
正社員の方の多くは、未だにみなし残業という仕組みに苦しめられています。
月次当たりの働くであろう勤務時間を元に基本給与が定まるのですが、その時間を超過した分は通常残業代が発生します。
しかし、現場の雰囲気や会社からの圧力で、残業代を申請できない方も多いのです。
そのため、いくら時給換算にすると派遣社員の方のほうが、給与が高いというケースが多く発生します。
ちなみに先述したように、派遣社員は派遣会社との契約なので、仮に残業が発生した際は遠慮なく残業申請を申請できます。
裏を返すと、会社側も派遣社員への残業代は払いたくないため、派遣社員はきっちり定時で帰りながらも正当な報酬を手に入れることができ、その分のしわ寄せを正社員がかぶることも多々あるのです。
自分のスキルに応じた仕事を紹介してもらえる
また、自分のスキルに応じた仕事を紹介してもらえるのも、大きなメリットの1つです。
普通の正社員ですと、一つの会社で働くことしかできません。
そのため、組織の中でやらなければならないことを充てがわれ、本当は自分が活かしたいスキルを活かせないことケースも多く存在します。
しかし、派遣社員は派遣元が契約している企業の中から選ぶことができるので、自分のスキルに応じた仕事を紹介してもらえるチャンスが高まるのです。
自分のやりたい業務や得たいスキルに応じて仕事を選べますから、やり方によってはスキルアップすることができるでしょう。
都合に合わせた時間・期間で働ける
時間の融通が利きやすく、都合に合わせた時間・期間で働けるというメリットもあります。
先述したように、派遣社員は数合わせで呼ばれることが多いです。
つまり、正社員がするほど重要ではないけれども、やらなければならない仕事をするということになります。
そのため、勤務時間や期間も割と柔軟に調整可能です。
働くママさんとして派遣社員勤務している方は、9時出社は正社員と同じだけども、子供のお迎えのために16時に帰ります、というケースも多く見受けられます。
これが正社員ですと周りからの目も厳しいですが、派遣社員であれば周囲からも厳しい目で見られません。
「契約で守られつつ、周囲の目も気にならない」というストレスフリーな環境で自由な働き方が可能なのは、派遣社員の非常に大きなメリットですね。
普通だと就職できない大手企業で働ける場合もある
また、普通だと就職できない大手企業で働ける場合もあります。
正社員の場合は採用ハードルがとてつもなく高いですが、派遣社員の場合は企業の正式採用基準よりも大分低い基準で働くことが可能です。
たとえば、トヨタや楽天、電通や三井物産といった大企業でも、派遣社員を大量に募集しています。
これらの企業は一流大学を卒業したエリートしか就職できませんが、派遣社員として働くことは難しくありません。
そのため、学生時代に憧れていたあの大企業に!なんてことが、簡単に実現したりするのは嬉しいですね。
労働環境に問題があれば派遣会社が対応してくれる
労働環境に問題があれば、派遣会社が対応してくれるのもメリットです。
正社員ですと、会社との直接契約ですので言いたいことがあっても言えません。
でも、派遣社員はあくまで雇用元は派遣会社なので、勤務先の会社についての問題を特に気にすることなく報告できます。
そして、その問題の解決にも派遣会社が乗り出してくれるので、無駄な労力を割くこともないのです。
ブラックな待遇で無理して働く必要はありませんし、どうしても合わないなら職場の変更もできますから、労働者の権利が守られているといえますね。
派遣社員から正社員に転職するときの心構え
それでは、実際に派遣社員から正社員に転職するには、どうすればいいのでしょうか。
その心構えについて、解説していきます。
派遣社員の経歴も評価されるので転職は可能
まず第一に、安心して転職活動に挑んでほしいという意味でお伝えするのが、派遣社員の場合は派遣社員時代の経歴も評価されるので、正社員への転職は可能ということです。
これはフリーターとの大きな違いで、アルバイトなどは職歴として評価されません。
あくまで派遣社員として頑張ってきたからこそ、その経歴が認められるのです。
そのため、自分は派遣社員だからなんて卑下はせず、堂々と正社員への転職活動を進めることが可能なのです。
数年後のキャリアプランを考えたうえで転職活動を始める
その前提で次に意識するのが、数年後のキャリアプランを考えたうえで転職活動を始めましょうということです。
派遣社員として働いていれば、何かしらの専門性やスキルが見についていることがあると思います。
場当たり的に何となく正社員を目指すのではなく、その専門性・スキルを活かしてしっかりとキャリアプランを立てて挑みましょう。
キャリアプランを立てて会社を選ぶのと選ばないのでは、将来的な昇給や昇格に大きく影響していきます。
自分の市場価値を最も高められそうな道を選択しましょう。
正社員だと責任が重くなりストレスが増えることを覚悟しておく
また、正社員だと責任が重くなりストレスが増えることを覚悟しておきましょう。
派遣社員の頃には考えられなかったような重たいタスクが振ってきて、それがプロジェクトにとって非常に重要な仕事の可能性も増えてきます。
そのため、納期もクオリティも派遣社員の頃よりも格段に厳しくなるのです。
特に顕著なのが、そういった仕事のプレッシャーを与えてくる人の役職も上がることです。
正社員は会社の資産ですから、自然と上の階級の方も良くも悪くも関わってきます。
そのため、派遣社員の頃は一般社員とのやり取りが多かったですが、正社員になると仕事をする人の幅も広がり、それも大きなストレスになっていくのです。
人間関係のトラブルも増えがちになるので、密なコミュニケーションを行うことが大切だといえるでしょう。
退職するときには派遣先でなく派遣会社に相談する
退職するときには、派遣先ではなく派遣会社に相談しましょう。
派遣会社との雇用契約ですから、派遣先に言ったとしても何の意味もありません。
派遣先に相談すると、言い方によっては角が立ってしまったり、予期せぬトラブルが起きることも考えられます。
退職するときには、なるべく数ヶ月前に伝えるのがマナーです。
残務処理や後任の選定などでバタバタしてしまいますから、早く伝えることでトラブルを未然に防ぐことが大切となります。
紹介予定派遣の落とし穴
派遣期間終了後に本人と派遣先の合意があれば直接雇用になる制度
「正社員になる」という観点からいくと、紹介予定派遣がよいのではと考えている方もいるのではないでしょうか。
紹介予定派遣とは、派遣期間終了後に本人と派遣先の合意があれ直接雇用になる制度です。
確かに、ゆくゆくは正社員になりたいと思いながらも、まずはスキルや専門性をつけるために紹介予定派遣から、なんて考え方も良いかもしれません。
しかし、一方で紹介予定派遣にはいくつか落とし穴があることも忘れてはいけません。
自分が求める条件に合う求人が少ない
その1つが、自分が求める条件に合う求人が少ないということです。
いざ紹介予定派遣で探そうと思って派遣会社に登録してみても、紹介予定派遣として応募できる求人は圧倒的に少ないのです。
企業からすると派遣社員は数合わせ要員ですから、作業ができるなら誰でも良いと考えています。
初めから正社員として採用する気が無いことが多いため、紹介予定派遣を利用する企業はそこまで多くありません。
正社員ではなく契約社員の可能性もある
実は紹介派遣社員としての期間が終わり、いざ直接雇用となった場合、正社員ではなく契約社員として雇用される可能性もあります。
少し古い情報となりますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「人材派遣会社におけるキャリア管理に関する調査」によると、紹介予定派遣で期間終了後に派遣社員として雇用されたケースが34.4%にも上ります。

参照:労働政策研究・研修機構
紹介予定派遣は最長でも6ヶ月以内ですが、もしその最長6ヶ月を働いた後に正社員ではなく契約社員としての雇用だった場合、正社員になるための時間を6ヶ月も無駄にしてしまうことになるのです。
派遣時代よりも給与が下がるケースがある
また、派遣時代よりも給与が下がるケースがあることも気をつけましょう。
派遣時代の給与を見て、そのまま正社員も同じ給与をもらえると安心しているかもしれませんが、正社員になると給与が下がることが多いのです。
つまり、最長6ヶ月の間は派遣会社の雇用なので、高い時給換算で月給がもらえていますが、直接雇用後は派遣先の会社に属するため、派遣先の給与のほうが低かったりするのですね。
採用後の待遇まで確認しておかないと、正社員になれたとしても後悔することになるでしょう。
派遣から正社員になるなら転職エージェントを使うのが良い
先述のように、紹介予定派遣はリスクが高いために、正社員を目指すのならば使わない方が賢明です。
紹介予定派遣の少ない選択肢から探すよりも、初めから正社員の求人を探した方が成功する可能性は高いでしょう。
ただ、派遣社員の経験しかないとアピール要素が少ないですし、志望動機などを工夫しないと応募先企業から相手にされません。
自己アピールの精度を高めなければ、内定をもらえないわけです。
転職活動に自信が持てない人は、転職エージェントを利用することをおすすめします。
キャリアアドバイザーが担当に付いて転職のサポートをしてくれるので、自分一人で活動するよりも効率をアップさせることができますよ。
カウンセリングを受けると自分の強みが明確になりますし、強みを活かせる求人を紹介してもらうことも可能です。
応募書類の作成や面接対策もしてくれるので、高い確率で内定を得られるでしょう。
派遣社員から正社員を目指す人は、転職エージェントを利用してみてください。
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業界でもトップクラスの求人数ですから、自分に合った企業と出合える可能性は高いでしょう。
また、キャリアアドバイザーの質が高いのも特徴ですね。
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