契約社員や派遣社員、パート・アルバイトなどの非正規雇用者は、毎年のように緩やかに増え続けています。
平成28年には2,000万人を突破して、全体の37%を超える割合となっていますね。
そして、その中の約14%にあたる280万人が、正社員を望んでいるのに非正規雇用に甘んじていると言われています。
長く非正規で働いていると十分なスキルが身に付かないため、正社員として就職するのが難しくなってしまうわけです。
そのままだと、雇用が不安定なままで生活を続けることになるでしょう。
なので、できるだけ早く正社員になれるように努力をしてください。
ここでは、非正規雇用から正社員に転職するための方法を紹介します。
目次
正規雇用(正社員)のメリット・デメリット
正社員とは、雇用期間の定めがなくフルタイムで働く労働者のことを指します。
基本的には自分から退職を申し出ない限り働くことができ、9~17時など会社が定めた時間の仕事をするわけですね。
会社はむやみに社員を解雇にすることができないため、よほどのことが無い限り雇用は約束されています。
だから、安定して収入を得ることができ、生活の心配をすることはありません。
また、勤続年数や成果に応じて昇給があり、ボーナスの支給もある会社が多いです。
社会保険や各種手当などの福利厚生が充実していたり、会社によっては色々な特典を用意していることがあります。
このように、仕事をする上では有利なポイントが多いので、正社員を目指す人が多いわけです。
正社員のメリット
- 簡単には解雇されない
- 非正規よりも年収が高くなる
- 住宅手当や特別休暇などの福利厚生がある
- 労働組合などに加入すれば労働者の権利が守られる
- 住宅ローンやクレジットカードの審査で有利
- 転職時に職歴が評価される
収入や福利厚生などの直接的なメリット以外にも、キャリアを積み重ねられるのは正社員の特権ですね。
たとえば、5年の営業経験があれば、転職時にその経験は評価されます。
応募先企業が欲しがっているスキルを持っていると、大幅な年収アップを提示してくれるかもしれません。
非正規雇用だと同じ経験をしていても、正社員よりは評価されません。
やはり、責任の軽い仕事だと判断されるので、経験として認めてくれる会社が少ないわけです。
何年も非正規で働き続けたとしても、転職市場での強みは身に付かないでしょう。
なるべく早いうちに正社員になっておいて、キャリアを積み重ねることが大切だといえますね。
正社員のデメリット
- 採用されるまでの敷居が高い
- サービス残業や休日出勤を強要されることがある
- 会社の都合で異動や転勤になるリスクがある
- 気軽に休みを取ることができない
- 責任の重さやノルマなどでプレッシャーがある
- 管理職になると部下の育成も必要になる
安定が約束されている正社員ですが、それだけ非正規よりも責任は重くなります。
拘束時間も長くなりがちなので、自分の自由を確保することができません。
プレッシャーに耐えきれなくなり、退職してしまう人さえいますね。
好待遇のホワイト企業に就職できればいいですが、ブラック企業に入ってしまうと低賃金で働かされ続けることになるでしょう。
非正規雇用のメリット・デメリット
一言で非正規雇用といっても、色々な種類があります。
代表的なのは、契約社員と派遣社員、パート・アルバイトなどですね。
- 契約社員
-
- 雇用期間に定めがある
- 正社員と同じフルタイムで勤務する
- 企業と直接契約を結ぶ
- 会社によっては昇給やボーナスもある
- 派遣社員
-
- 雇用期間に定めがある
- 派遣会社と契約を結んで仕事をする企業に派遣される
- 給与の支払いや福利厚生は派遣会社が行う
- 残業代もしっかりと支払われる
- 業務についての指示は派遣会社から受ける
- パート・アルバイト
-
- 雇用期間に定めがある
- シフト制で短時間の労働
- 企業と直接契約を結ぶ
- 給料は時給で計算される
雇用主や働き方に違いがありますが、共通しているのは「雇用期間に定めがある」という項目ですね。
会社側からすると期間が終われば解雇にできるので、必要な時にだけ人材を補充することができます。
でも、労働者からすると簡単に首を切られるわけですから、いつも不安を抱えて仕事をすることになるわけです。
雇用の安定という面で、正社員と非正規雇用は大きく異なっています。
非正規雇用のメリット
- 仕事内容や労働時間、勤務場所などを柔軟に選ぶことができる
- 育児中の女性でも働くことができる
- 人気の大手企業でも採用される可能性がある
正社員よりも責任がないため、会社からの制約が少ない傾向にあります。
派遣社員や契約社員だと契約内容が決まっており、サービス残業や休日出勤をすることも無いでしょう。
残業代も支払われますから、不当な扱いだと感じることは少ないはずです。
また、単純作業で時間の拘束が少なく、育児中の女性でも仕事を続けることができます。
正社員だとハードワークで仕事が続けられませんから、シングルマザーの方には非正規で働くのが向いているでしょう。
そして、採用までのハードルが低いので、大企業に入れる可能性があります。
六本木ヒルズや東京ミッドタウンなど、都会の一等地にあるオフィスで働いたりできるので刺激になるはずです。
正社員登用の制度がある会社だと、そのまま正社員になれるかもしれません。
非正規雇用のデメリット
- いつ解雇になるか分からない
- 正社員よりも収入が低い傾向にある
- 社会的な信用が無い
やはり、最大のデメリットは、不安定な雇用と低い賃金ですね。
契約の期間が決まっているので、更新されなければそのまま解雇となってしまいます。
すぐに次の仕事が見つかればいいのですが、転職活動が長引いてしまうときついでしょう。
収入が低いために貯金も増えませんし、急に無職になったときに生活ができなくなりますね。
賃金格差はかなり深刻で、正社員との差は大きいです。
内閣府の調査によると、正社員と非正規社員との年収差は1.8倍となっていました。

参照:内閣府
2005年から賃金格差は縮小傾向にありますが、それでも時給の差は1,000円以上ですから生涯賃金にすると相当な開きになるはずです。
また、雇用が不安定なので社会的信用が無く、住宅ローンが組めなかったり、クレジットカードが作れなかったりします。
独身なら問題ないかもしれませんが、結婚して子供を作ったりするには不安が残りますね。
非正規雇用でも正社員を目指すことはできる!
非正規の経験が長くなると、正社員で働くのが難しいと言われます。
先述のとおり、非正規での経験はキャリアとしてみなされないので、即戦力として期待されないからですね。
また、非正規で働いている人は、育児や介護、病気など、満足に仕事ができない環境にいることが多いです。
そういった面からも、企業から敬遠されやすいといえます。
なので、正社員として採用されるためには、企業側の不安を解消する必要があるわけです。
育児をしている人
子育てをしながら正社員の採用を目指すなら、育児が仕事に支障が無いことを伝えなくてはいけません。
急に仕事を休んだり、残業ができないようだと、企業からすると困るわけです。
なので、企業を安心させるために、労働時間の制約が無いことを示せるようにしましょう。
「保育園の送り迎えは夫がやってくれます」「子供が熱を出したら両親に見てもらいます」など、サポート体制が整っていることを伝えるのが良いですね。
介護をしている人
両親や家族の介護をしている人も、介護が仕事に支障をきたさないことを伝える必要があります。
ポイントとしては、できること・できないことを明確にすることです。
「残業は○時間まで」「休日出勤はできない」など、無理なことは正直に伝えるようにしてください。
そうしないと、内定をもらった後にトラブルになるかもしれません。
できるだけ会社に合わせるべきですが、どうしても無理なことは仕方ないですよね。
病気がちな人
持病があって非正規雇用をしている場合は、病気がどれくらいの症状なのかを明確に伝えることが大切です。
病気の内容によっては出来ない仕事もあるでしょうから、そこをハッキリさせないといけません。
長期の療養をしていた場合は、その期間に学んだことなども伝えます。
スキルアップや向上心の気持ちをアピールできれば、入社後の活躍を期待させることができるでしょう。
非正規雇用者が正社員に転職する方法
求人が多くなる時期を狙う
年間で正社員の求人が多くなるのは、業種にもよりますが3月と9月が一般的です。
4月から上半期・10月から下半期が始まるので、その段階で退職者や社内異動などが増えるからですね。
不足した人員を補充するために、3月と9月の前後に求人が増えることになります。
その時期を狙って応募すれば、どこの企業でも人手不足なので正社員として採用されやすくなるでしょう。
人手不足の業界を狙う
業界によっては、慢性的に人手不足だったりします。
たとえば、介護や運送業などは、人手不足の代表ともいえる業界ですね。
激務で大変な業界なので人手不足という面もありますが、正社員を目指すなら近道となります。
こういった業界で正社員のキャリアを積めば、数年後に他の業界へ転職することもできるでしょう。
非正規雇用の人は、正社員の職歴を作ることが何よりも大切です。
いきなり自分のやりたい仕事に就くのは難しいことなので、内定をもらいやすい業界から入るのがおススメです。
ある程度のスキルや経験を習得すれば、自分の希望する業界に転職できるかもしれません。
急がば回れと言いますが、そういった選択肢もあることを覚えておいてください。
紹介予定派遣の仕事を探す
正社員登用を前提として、最初は派遣社員として働くという方法があります。
これは、「紹介予定派遣」と呼ばれるもので、企業で最大6ヶ月間の仕事をした後、双方の合意があれ直接雇用に切り替えるというものです。
実際の職場で働くので雰囲気が分かりますし、企業も働きぶりを見たうえで採用を決めることができます。
双方にメリットがある雇用形態なので、紹介予定派遣を採用する企業は増えていますね。
ただ、直接雇用といっても、正社員でなく契約社員の可能性があります。
それだと意味がありませんから、最初に正社員かどうかを必ず確認してください。
ポジティブな転職理由・志望動機を語る
非正規雇用から正社員を目指すなら、前向きな理由を用意する必要があります。
企業の面接を受けた時に、「安定した生活がしたいので」などと言ってしまったら、ほぼ確実に不採用になるでしょう。
企業からすると、「正社員ならどこでも良いのでは?」と思われてしまいます。
転職における前向きさ、その企業に応募した本気度などを、示すことができるようにしてください。
また、企業に対して何か提供できるものが無いといけません。
非正規雇用の仕事で得た知識やスキルなどをアピールできれば、入社後の活躍を期待してもらえるはずです。
そうすれば、内定にグッと近づくようになりますね。
これまでの経験をエピソードとして語れると、面接官の印象に残りやすくなります。
- 派遣社員で経験した仕事は何か?
- その仕事から得たスキルは何か?
- 仕事中に失敗したことはあるか?
- その失敗から何を学んだのか?
- 入社後にどんな活躍ができるのか?
これができていない人が多いので、必ず覚えておいてください。
正社員になるなら転職エージェントを利用するべき
正社員の中途採用では即戦力が求められるので、非正規での経験しかなければ厳しいと思います。
これまでの経験を上手く見せることができないと、採用するメリットを感じてもらえないからですね。
なので、自分の強みと企業のニーズを正確に見極めることが不可欠です。
これが上手くできないために、いつまでも正社員になれないという人が多くなっています。
そこでおススメしたいのが、転職エージェントを利用することです。
専任のキャリアアドバイザーが付いてくれるので、転職活動におけるサポートを行ってくれます。
カウンセリングを受けることで自分の強みを客観的に認識できますし、その強みを活かせる求人も紹介してもらえますよ。
他にも、以下のような手厚いサポートも受けられます。
- 今後のキャリア相談
- 求職者に合う非公開求人の紹介
- 企業に合わせた応募書類の作成・面接対策
- 面接スケジュールの調整
- 給与や待遇などの条件交渉
- 選考結果のフィードバック
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転職のプロのサポートがあれば、必ず正社員になることができるでしょう。
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