かつての日本社会は終身雇用が一般的だったので、転職する人は多くありませんでした。
新卒で入社したら、その会社で定年まで勤め上げることが普通だったんですね。
しかし、不景気により大企業でも倒産する世の中ですし、だんだん終身雇用は無くなっていき転職することは当たり前になってきました。
今の若い世代は、転職に抵抗がない人が多いようです。
ただ、転職が受け入れられる世の中だとしても、あまりにも回数が多い場合は問題があります。
転職を繰り返す方をジョブホッパーと呼びますが、ジョブホッパーの方が心配するのは「こんなに転職回数が多くて大丈夫なの?」という点しょう。
転職回数が多すぎると企業から警戒されますから、何かしらの対策を立てないといけません。
今回は、30代のジョブホッパーが転職で成功する方法について解説します。
転職回数が多いと不利なのか
年代別の転職回数の平均について
転職サイトリクナビNEXTが、「年代別の転職回数と採用実態」について調査しています。
その調査によると、20代の76%が転職経験なしという結果でした。
しかし、30代になるとその割合は一気に変化し、4人に1人が「転職1回」で、3割の人が2回以上という結果になり、30代になると転職することへの抵抗が大きく減少することが分かります。
また、40代以上になると、6割以上の人が1度は転職を経験しているようです。

参照:リクナビNEXT
3回以上の転職回数だと多いと思われる可能性が高い
30代にもなると転職経験者が増えるように、転職をしたことがある人自体は珍しいものではありません。
しかし、先述した調査内容からも分かるように、3回以上の転職というのはどの年代でも少数派です(30代で13%、40代で24%、50代で29%)。
そのため、3回以上の転職回数は、「転職回数が多い」と思われる可能性は非常に高くなります。
転職回数が多いと長続きしない人だと判断されがち
転職回数が多いと思われると、何が一番問題なのでしょうか。
それは、「もし採用してもすぐに辞めてしまうのでは」と思われることです。
企業にとって採用とは、あくまで手段でしかありません。
採用した人が、中長期的に自社で活躍してくれて初めて採用した意味があります。
また、採用することにも非常にコストが掛かっているため、採用した人材がすぐに辞めてしますと会社にとってお金の無駄であり、そのような人を採用した人事の評価も下がってしまうのです。
そのため、採用する際に「ちゃんと自社に定着するのか」という点を見極めることが大事になってきます。
その観点から言うと、転職回数が多いということは今まで会社を辞めてきたという事実があるため、採用企業側から敬遠されることになってしまうのです。
転職回数を誤魔化してもバレるので注意!
「じゃあ、転職回数って正直に言わないほうがいいのでは?」と思った方もいると思いますが、転職回数を誤魔化すのはアウトです。
面接では誤魔化せたとしても、後で必ずバレてしまいます。
社会保険や雇用保険の手続きをする際に、前職の会社名や退職年月日がわかってしまうからです。
そのため、面接などで上手く誤魔化して内定をもらっても入社手続きでバレるため、内定取り消しどころか経歴詐称で色々と揉める可能性もあります。
とにかく、メリットどころか最終的なデメリットしかないため、絶対に誤魔化さないほうがいいでしょう。
ベンチャー・外資系企業は転職回数よりもスキルを重視する傾向にある
会社によっては転職回数よりもスキル重視の会社もあるため、転職回数について特に考慮せず転職活動をすることが可能です。
たとえば、外資系企業ですと本社がある海外の市場では、日本と違って転職することは当たり前の文化です。
そのため、転職回数はそこまで気にされず、完全なスキル重視で選考されます。
また、ベンチャー企業も実力主義です。
加えて会社を作っていくメンバーを募集しているため、ベンチャー精神とその会社でどれだけ働きたいかという熱意を伝えることができれば、転職回数にはそこまで言及されません。
採用担当者が転職回数で判断すること
退職理由に合理性があるかが何よりも重要
もちろん、転職回数が多いと外資系・ベンチャー企業以外は受からないかと言うと、そんなことはありません。
何より重要なのが、退職理由に合理性があるかどうかということです。
たとえば、やりたい仕事があったとか、もっと裁量権のある仕事がしたかったなど、退職しても仕方ないなという理由に関しては採用企業側もちゃんと考慮してくれます。
逆に、もし退職理由が「毎回条件面に不満があった」とか「残業時間が長かった」など、ネガティブな理由ばかりで退職をしていると問題です。
「またどうせウチでも、何かとネガティブな理由を付けて辞めていくだろうな」と思われてしまい、不採用になる可能性は高いでしょう。
ブランク期間がある場合は何をしていたかが問われる
また、転職回数と同様にチェックされるのが、ブランク期間です。
ブランク期間とは「仕事を辞めて無職になっている期間」のことで、この期間が長いほど何か問題があったのではないかと深掘りされます。
仕事をせずにフラフラしているというのは社会人としてイメージが悪いですし、そこに合理的な理由が無ければ人間性を疑われてしまうでしょう。
なので、ブランク期間が空いている人は、その理由について説明できるようにする必要があります。
職歴を見て段階的にステップアップしているなら問題視されない
転職回数についてですが、いくら多くても特に問題視されないケースも存在します。
それが、転職するたびに段階的にステップアップしているケースです。
簡単な事例でいうと、転職するたびに役職が上がっている場合などですね。
これは職務経歴書から見ても、他社から実績を認められて引き抜かれ続けてきたんだなと分かるので、むしろ実力がある証とも言えます。
他にも、コンサルから事業会社の経営企画になった、販売から提案営業になったなど、仕事内容もステップアップをしている分かりやすい判断軸になるはずです。
転職回数が多い人の転職成功法
長期戦になる可能性があるので仕事を辞めずに転職活動を行う
それでは、もし転職回数が多い場合、どうすれば理想の転職を成功させることができるのでしょうか。
まず原則、長期戦になることは覚悟しておきましょう。
そのため仕事を辞めずに、在職中に転職活動を行うことが基本です。
転職回数が少なかった頃は、もし退職しても次の仕事先が滞りなく決まったかもしれません。
しかし、30代ともなると様々なこだわりが出てくるでしょう。
自身のこだわりを追求したい、でも転職回数が多い理由で不合格になる企業も一定数いることを考えると、転職活動を初めてすぐに転職が決まる可能性は低いはずです。
転職活動が長期化すると貯金を切り崩すことになるので、精神的にも余裕が無くなってしまいます。
すると、転職することが目的になってしまい、第一志望ではない企業に入ってしまったりするわけです。
仕事をしながらであれば、収入が途切れることが無いので余裕を持つことができます。
転職で妥協しないためにも、仕事をしながら活動するようにしてください。
過去の仕事の退職理由を整理する
先述したように転職回数が多い場合、退職した理由の合理性が大変重要です。
そのため、時間を使って過去の仕事の退職理由を整理しましょう。
退職理由については、応募書類への記入や面接での説明と、転職活動中に嫌というほど聞かれます。
どのような質問のされ方をしても、企業から見て合理的な退職理由だと思ってもらえるような論理武装をしておいてください。
ポイントしては、前向きな退職理由を語れるようにすることです。
「人間関係が嫌だった」「給料が安かった」というネガティブな理由ではなく、「新しい仕事に挑戦したい」「○○のスキルを身に付けたい」といった理由が望ましいでしょう。
将来のビジョンを基に過去の仕事選びの一貫した基準を語れるようにする
キャリアを語る上で、大事になってくるのが一貫性です。
一貫性と軸がない場合、企業からするとすぐに言動が変わる不安定な人材だと判断され、敬遠されてしまいます。
まずは自分の中でのキャリアに関する将来のビジョンを確立しましょう。
そして、そのビジョンを基に、過去の仕事選びの一貫した基準を語れるようにしておくのです。
転職が多いとしても、各転職理由がそのビジョンに基づいていれば、合理性のある転職理由だと判断され、企業も安心してあなたを採用できます。
豊富な職歴による経験の多さで応募企業に貢献できることをアピールする
転職回数が多いというのは、一概にデメリットばかりではありません。
同じ職場で同じような仕事ばかりしてきた人材と違い、転職回数の多い方は異なった職場で異なった経験を重ねてきたという強みがあります。
そのため、例え違う会社で新しい業務に当たるとしても、それまでの豊富な職歴を活用すれば、新しい職場でも活躍してくれる人材だと採用企業に思わせることができるでしょう。
過去の職歴から得たスキルを一覧表にして、応募企業で使えるものを洗い出してください。
それらをアピールすることで、他の応募者と大きく差を付けることができるかもしれません。
今回は腰を据えて働くという意思を見せる
繰り返しにはなってしまいますが、企業が欲しい人材は「中長期的に自社で活躍してくれる」人材です。
なので、選考では必ず「今回は腰を据えて働く!」という意思を見せてください。
もちろん意思だけではなく、「今回こそは」と思わせるような理由があれば、その理由も語りましょう。
大事なのは選考において、企業を安心させることです。
ちゃんと定着して活躍してくれるという安心感がなければ、企業も採用に踏み切れません。
入社後にやりたいことや数年後のビジョンを語ることで、説得力の高い志望動機を話すことができるはずです。
企業への説得材料となるように、熱意を伝えることを意識してみてください。
職務経歴書には徹底的にこだわる
転職回数が多い人は職務経歴書でのアピールが大切
転職回数が多い人が、転職活動で最も苦しむのが書類選考でしょう。
なぜなら、職務経歴書で転職回数が多いという理由だけで、不合格になるという門前払いをされることが多々あるからです。
「面接で直接アピールできれば・・・」という、悔しい思いをしたことがある人も多くいると思います。
そのため、転職回数が多い人ほど職務経歴書に徹底的にこだわってください。
職務経歴書で「ぜひ会ってみたい」と思わせるために、転職回数が少ない人に比べて大いに自分をアピールする必要があるのです。
キャリアの一貫性が伝わるように職種ごとにまとめる
職務経歴書は転職回数が多いからこそ、分かりやすくまとめることが大事です。
転職回数が多いほど情報が多くなりがちですので、内容がまとまっていないと読む気もなくなってしまいます。
転職回数が多い場合は、キャリアの一貫性が伝わるように職種ごとにまとめましょう。
そうすれば読みやすい職務経歴書になりますし、転職回数が多くとも一貫性があれば転職の合理性が伝わります。
実績は具体的な数字とエピソードを交えて書く
豊富な職務経歴をよりアピールするために、実績を書く際は具体的な数字とエピソードを盛り込むのは必須です。
経験が豊富なのに内容があまりにも抽象的ですと、仕事ができなくて転職を繰り返してきたと捉えられかねません。
具体的な売上金額や獲得件数、結果を出すに至ったエピソードなどがあれば、一気に説得力を高めることができます。
また、失敗経験があっても、そこから学びを得たエピソードを語ると、プラスの印象にすることができますね。
工夫次第でアピールできますから、具体的に伝えることを意識しましょう。
専門スキル以外にも汎用スキルのアピールも忘れない
具体的にアピールがしたいがために、専門スキルばかりアピールしないように気をつけましょう。
専門性ばかり極めてきた人は特定の仕事しかできないのではとか、周りとの協調性がないのではと思われてしまうケースもあります。
汎用スキルもアピールすることで網羅的に仕事をできることや、協調性・社交性があることもきっちりアピールしていきましょう。
転職回数が多い人は転職エージェントを利用しよう
これまでお伝えしてきたように、転職回数が多い人は書類選考の通過率が下がってしまいます。
高いスキルや経歴を持っていても、転職を繰り返している時点で、長続きしない人だというレッテルを貼られてしまうからです。
企業によっては、職歴が多い時点で他の書類を読まずに不採用とすることもあります。
かなり不公平だと思うかもしれませんが、中途採用ではこれが現実なので仕方がありません。
よほど応募書類の書き方を工夫しなければ、通過率を高めることは難しいですね。
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