転職を考えた時に、最初にすることは転職サイトで求人を検索することだと思います。
自分で条件を指定して調べられるので、最もポピュラーな転職方法ですよね。
ただ、その情報を鵜呑みにするのは危険です。
あまり知られていませんが、転職サイトの求人票には事実と異なることが記載されていることがあります。
応募者を少しでも多く集めるために、実際よりも好条件の内容を記載した嘘求人が増えているんですね。
それを真に受けて応募すると、入社後にトラブルになってしまうかもしれません。
そういった会社は高い確率でブラック企業なので、騙されないように注意してください。
今回は、嘘の求人情報に騙されないための見分け方について解説します。
実は求人内容には嘘が含まれることが多い
ハローワークは無料なのでブラック企業が集まる傾向にある
ハローワークには多くの求人が集まっていますが、それは掲載するのに料金が掛からないからです。
どんな企業でもとりあえずハローワークに登録するため、たくさんの求人広告が集まっていますね。
また、無料で掲載できることから、採用にお金を掛けたくない中小企業の求人が集まってくる傾向にあります。
その中にはブラック企業の求人も多数含まれており、誇大広告ともいえるような求人があるわけです。
普通の転職サイトに比べると、ハローワークは嘘の求人の割合が高いと言われています。
なので、ハローワークを利用する際には、職員に求人内容の確認をしてもらってください。
手軽に使えるのがハローワークのメリットですが、リスクがあることも理解しておきましょう。
チェック体制が甘い転職サイトは嘘の求人が無くならない
有料無料かかわらず、求人票の内容のチェックが甘い転職サイトも存在します。
転職サイトによって、求人票のルールも管理体制も異なるんですね。
上場をしていたり、Pマークを取得している企業が運営する求人サイトは、求人票の情報について厳しくチェックしていますが、他の企業に関しては運営がザルなのです。
そのため、掲載企業が好き勝手に書いた情報がそのまま掲載されてしまい、求人情報に虚偽が多くなってしまっています。
あまり知名度のない求人サイトを利用する場合には、十分に注意するべきでしょう。
入社後に話と違っていて戸惑うことがある
このように、嘘の情報が多い結果として起きてしまうのが、「入社してみたら話と違った」というトラブルです。
求職者は、まさか公にされている求人情報が嘘だとは思いません。
求人情報について、「これって本当ですか?」とわざわざ面接で尋ねることはないのです。
また、嘘の情報を掲載するような企業はいい加減ですので、応募数を稼ぐために載せた嘘の情報について大して気にも留めていません。
そのため、応募してしまった側だけがとにかく損をしてしまうのです。
雇用契約を結んだ後では取り返しがつきませんし、入社後にクレームしても受け付けてもらえないでしょう。
泣き寝入りの状態になってしまいますから、常に疑いの目をもって面接へ挑むことをおススメします。
求人に嘘が多い理由
求人内容に嘘があっても企業に罰則はない
なぜ、求人に嘘が多いことがまかり通っているのでしょうか。
その理由の一つが、求人内容に嘘があっても企業に罰則がないことが挙げられます。
正しくいうと罰則はあるのですが、適用がとてつもなく難しいのです。
Webメディア「弁護士ドットコム」によると、求人詐欺「罰則規定」はあるものの、2017年1月時点で適用件数は0件とのことです。
実は、現行の職安法にも罰則規定は存在する。「虚偽」の条件で職業紹介などをした者に対し、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を課す、との記載があるのだ(65条8号)。だが、この罰則、一度も適用されたことがない。
引用:弁護士ドットコム
その理由としては、罰則にあたるかどうかの「虚偽性」を判断することが非常に難しく、企業は言い逃れができてしまうからだそうです。
このように実質罰則がないような状況になってしまっているため、企業は気にすること無く求人に嘘の情報を掲載してしまっているのが実情なんですね。
労働環境が悪い企業は正直に書くと応募が集まらない
また、多くの企業が事実だけを求人に掲載しても、応募が集まらないという実情が、求人に嘘を掲載させる状況を作ってしまっています。
現在の日本社会は、好景気×少子高齢化で労働力が不足している状態です。
求人倍率も歴史的に見ても最高水準で、一昔前は企業が人材を選んでいたのに、今では応募者が企業を選ぶ売り手市場に様変わりしています。
そんな状況の中では、特に労働環境が悪い企業は正直に求人を書いても人が集まりません。
それでも、会社を存続・成長させるためには人が必要です。
採用担当は、社長や経営陣からも人を採用しろとプレッシャーを与えられている中で、嘘の情報を書いてでも人を集めざるを得なくなっています。
違法残業が発覚して行政指導が入るのを防ぐため
また、求人情報をというのは、基本的に公に公開されています。
その情報に目を光らせているのがお役所です。
特に労働時間にはとりわけ目を光らせており、企業によっては正直に求人情報に労働時間を記載してしまうと、違法残業として行政指導が入ってしまいます。
そのため、求人に嘘の情報を書いて、役所から行政指導が入ることを回避しているのです。
違法行為をしているのに、正直に白状する企業はいませんよね。
ブラックな労働環境の会社ほど内情を隠そうとしますから、求人情報の内容に嘘が入ってくる割合が多くなってしまいます。
人材を使い捨てと考えるため騙せば良いと考えている
全ての企業が、従業員を大切にするとは限りません。
企業の中には従業員はあくまで自分たちの所有物であって、所詮使い捨てのものと考えているようなブラック企業もいるのです。
そういったブラック企業は、とりあえず騙してでも入社させればこっちのもと考えています。
入社後はパワハラ的に管理し、心身共に駄目になるまで働かされ、いざ働けなくなるほどボロボロになったら、あっさりと捨てられてしまうのです。
最初から使い捨てるつもりで募集するため、嘘の求人を書いても問題ないと考えているんですね。
こんな企業は違法行為をすることに抵抗がなく、社員としては辛い目に遭うだけとなってしまうでしょう。
有料で求人を出すなら少しでも多く応募を集めたい
加えて先述したように、転職サイトには無料のものと有料のものがあります。
もし有料の転職サイトを使うとなると、掛けた費用に見合った成果を出さなくてはなりません。
お金だけ使って1人も採用ができなかった、というわけにはいかないのです。
そのため、有料で求人を出す際に、少しでも多くの応募を集めるために、出来心で嘘の情報を書いてしまう企業も多くなります。
本当は出せもしない高水準の給与を記載したり、平均残業時間を短く書いたりなど、少しずつ嘘を重ねてしまう傾向にあるんですね。
嘘の求人も手口が巧妙化してしますから、正しい知識を持っていなければ騙されてしまいます。
求人票でよくある嘘の例
基本給を諸費用や残業代込みの金額で記載している
ここからは気をつけるべき、求人票でよくある嘘の例について見ていきたいと思います。
まずよくあるのが、基本給の書き方についての嘘です。
基本給とは文字通り基本として払われる給与ですので、無給休暇などを取らずに一ヶ月普通に働けば必ず得られるお金です。
しかし、基本給で嘘をついてる企業は、基本給に交通費の諸費用や、残業代も含んで記載していることがあります。
これは相当悪質な嘘になりますので、少しでも面接などを通して会社として怪しいなと感じたら、質問をしてみてください。
残業代別途支給と記載しているのに一部しか払わない
また、次に多いのが残業代についてです。
残業代の表記でよく見るのが、「残業代別途支給」という文言でしょう。
しかし、企業によっては、実は見込み残業が基本給と表されている中に組み込まれていて、それを更に超える時間を働かなければ残業代がもらえないケースがあります。
もしくは、残業時間について暗黙のルールがあり、よほど働いたときのみ支払われる場合もあるようです。
その結果、全く残業代がもらえないか、もらえたとしても一部のみしか支払わられないという劣悪な環境に追いやられてしまいます。
雇用問題で多いのが残業代についてのトラブルなので、働いた分が全額支払われるのかは必ず確認しておいてください。
年間休日日数を有給込みの日数で記載している
休日日数についても、確認が必要な項目です。
労働環境の良さをアピールするために年間休日日数を記載する企業は多いですが、年間休日日数とは週休2日・祝日に加えて、会社が就業規則で「休日(公休日)」と定めている休日を含めた日数となります。
この休日日数には、有給や個人差のある慶弔休暇・結婚休暇・バースデー休暇などは含まれません。
しかし、外部の人からすると詳細を確認しにくい年間休日日数は、企業にとって嘘をつく格好の材料です。
年間休日日数に有給日数を組み込むことで、ホワイトな労働環境であると嘘をついていることがあります。
交通費全額支給とあるのに上限が設けられていた
交通費についても、嘘の情報が多いので注意してください。
交通費は毎月発生するものですので、企業選びの際に地味に見逃せない項目です。
交通費について一番魅力的に書かれているのが、「交通費全額支給」という文言でしょう。
興味がある会社でも少し場所が遠いと不安になりますが、全額支給と書いてあれば気兼ねなく応募できます。
しかし、企業によっては入社してみると、実は上限があったというケースも少なくありません。
「月に◯万円までですよ」と言われて、超えている分は実費で払わなければいけないというのは、たまったものではないですよね。
足りない分は毎月自腹を切ることになるので、1年もすれば相当なマイナスになるでしょう。
正社員と見せかけて実際には契約社員の募集だった
非常に悪質な嘘の情報としてあるのが、雇用形態の虚偽記載です。
当たり前の話ですが、いざ就職活動をしようとした際、ほとんどの方が正社員としての就職を希望します。
転職サイトで求人を絞り込む際も、「正社員」というフィルターをかけて検索することが多いでしょう。
もし正社員以外の募集の場合、このフィルターに弾かれて求人が閲覧されない可能性が高まります。
そのため、求人情報を正社員と偽って掲載し、いざ採用が近づいた際に契約社員として採用したいことを明かす企業もいるのです。
「ゆくゆくは正社員登用もあるよ」などと言われることもありますが、そんな言葉は信用できません。
最初から騙す目的で募集している会社も多いため、約束を反故にされる可能性が高いでしょう。
ボーナス金額を業績が良かったころの金額で記載している
最後が、ボーナス金額です。
ボーナスというのは基本的に会社の業績次第ですので、もちろん確実に支給されるとは限りません。
だからこそ企業も最近数年のボーナス実績を表示することで、これくらい支給できるかもしれませんよという可能性を提示します。
しかし、企業によってはここ数年ではなく、社歴の中で業績が良かった頃のボーナス金額を記載することで応募者を募ろうとすることも少なくありません。
その結果、近年とはかけはなれたボーナス金額となり、実際に入社してみたらボーナスが全然もらえないことで、想定していた年収が確保できなくなってしまうのです。
求人広告の嘘を見破る方法
頻繁に同じ求人を出している企業には注意する
それでは、こういった求人広告の嘘を見破るためにはどうすればいいのでしょうか。
まずひとつに、頻繁に同じ求人を出している企業には極力注意しましょう。
嘘をつく企業ということは、採用に苦戦している企業であり、労働環境が劣悪なブラック企業である可能性が高いです。
こういった企業は従業員の退職も多く、常に同じような人材を採用しているため、同じ求人を出し続けている傾向にあります。
求人サイトを定期的にチェックして、いつも同じ求人を出している会社があれば注意しましょう。
就業時間や給与に曖昧な数字を記載している
また、待遇面や労働条件などの情報が曖昧になっている求人は要注意です。
よくある例としては、就業時間や給与で「くらい」「前後」などという言葉を付けて、明確に記載することを避けていたりしますね。
こうすることによって、いざ入社したあとに記載情報と違うと言われても、明確に記載はしていなかったと逃げ道を作っているかもしれないのです。
曖昧な点があるのなら、面接の際に詳しく確認をしてください。
夜中に企業へ電話すれば実際の労働時間が分かる
就業時間、残業時間について嘘をついている場合、比較的簡単にその嘘を見破る方法があります。
それは、夜中に企業に電話をしてみることです。
就業時間が18時までで、平均残業時間が2時間と記載されている場合、週に数回夜中に電話をかけてみましょう。
もし何度も従業員が電話に出るようであれば、求人票に記載されている情報は嘘であると見破ることができます。
夜の22時や23時くらいに電話しても応答があるのなら、かなりのブラック企業だと思った方が良いですね。
深夜までの残業が常態化している可能性が高いので、そういった会社には応募しないでください。
企業の口コミサイトのレビューを確認する
求人情報の信憑性を確認するために、口コミサイトをチェックするのも有効な手段でしょう。
ネットで検索すると色々な口コミサイトが見つかると思いますが、そこには過去の従業員や現在の社員などの声が書かれています。
企業の口コミサイトでは、細かくレビュー項目が分かれているのが一般的です。
「給与について」「ワークライフバランスについて」など、それぞれのレビューを確認することで、働いている人の生の声から求人情報の信憑性を確認できます。
ただ、企業が自作自演で良いレビューを書いていたり、ライバル企業が嫌がらせで悪いレビューを入れていたりするので、話半分で理解しておくことが大切ですね。
本当の情報と嘘の情報が入り混じっていますから、あまり惑わされないようにしてください。
会社の前で待ち伏せして従業員に聞いてみる
ただし、中には口コミレビューへの掲載がされていない企業もあります。
その場合は、最終手段として、会社の前で待ち伏せして従業員に聞いてみるのもいいでしょう。
求人情報に虚偽情報を載せるブラック企業は、従業員からの信頼も低いことが多いです。
そのため、こういった急な来訪で会社の悪い部分を聞こうとすれば、嬉々として情報を提供してくれる可能性もあります。
昼間や夜間に会社の前で待っていれば、従業員が出てくるはずです。
会社に行ってみれば実際の退社時間なども分かりますし、従業員の雰囲気も肌で感じることができるでしょう。
自分に合っている会社かどうかも見分けられるので、実際に行ってみるのは大切なことですね。
内定後に雇用契約書の内容で最終確認する
面接中に疑問点をすべて質問してクリアになったとしても、最後まで安心してはいけません。
入社した後に全く条件が異なっていたということは、よくある話だからです。
後で企業にクレームをしても、「そんなことは言っていない」と言われたらどうしようもないでしょう。
何か明確な証拠がない限り、自分の主張が通ることはないと思います。
そこで、雇用契約書などの書面を交わすようにしてください。
詳しい条件について書面に残しておけば、あとでトラブルを防ぐことができます。
契約書を作ってもらえないなら、会話内容を録音するだけでも構いません。
最悪の場合、労働条件についての裁判をすることになっても、証拠を残しておけば自分に有利に進めることができるはずです。
大切なことですから、これは忘れないようにしてくださいね。
嘘の求人に騙されないために転職エージェントを利用しよう
これまで求人情報の嘘を見抜く方法を紹介してきましたが、それでも完ぺきとは言えません。
企業側も巧妙にグレーゾーンを突いてくるので、見破ることが難しくなっているからです。
そして、企業の実態は入社しないと分からない点も多いですから、求人情報だけで判断することは難しいわけですね。
そこでおススメなのが、転職エージェントを利用することです。
キャリアアドバイザーが担当についてくれて、求人の紹介から応募書類の作成、面接の対策まで転職活動のすべてをサポートしてもらえます。
転職エージェントは数万件以上の非公開求人を保有していますし、すべての求人を審査しているのでブラック企業の求人はありません。
自分の希望を伝えれば、それに合った求人だけを紹介してくれるわけです。
キャリアアドバイザーは企業ごとの特徴を熟知していますから、入社してから想像と違っていたというリスクを防ぐことができます。
絶対に失敗をしたくないなら、転職エージェントを利用するべきですね。
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