オシャレで華やかな美容師という仕事は、憧れている人が多い職業だと思います。
ファッションが好きな若者であれば、髪型や服装にとらわれない仕事なので魅力的に映るでしょう。
ただ、実際の仕事の現状というと、激務で薄給という厳しい世界です。
毎日夜遅くまで働いているのにも関わらず給料が少ないので、生活するだけでいっぱいになります。
服装にも気を遣わないといけないですし、常にお金がない毎日を送ることになるでしょう。
そういった理由から、美容師は非常に離職率が高い世界です。
ただ、やみくもに仕事を辞めてしまっても、転職活動はうまくいきません。
専門職なので他の業界へ移りにくいですし、転職するためにはコツが必要となります。
ここでは、美容師を辞めたい人へ向けて、転職を成功させるための方法を紹介するので参考にしてください。
美容師業界の残念な現状について
平均年齢が若く離職率が高い業界
美容業界の内情を知っている人はほとんどいないと思いますので、まずは実態について確認したいと思います。
厚生労働省の「美業業界 結果の概要」によると、常時雇用者の性別平均年齢別施設数の構成割合は、男女共に30歳未満が最も高くなっています。

参照:厚生労働省
平均年齢が若い原因の一つが、離職率の高さが原因です。
つまり、若い内に美容師の仕事に限界を覚え、辞めてしまう人が多いため、若い人が辞め若い人が入るというサイクルが生まれ、常に平均年齢が若いままになってしまいます。
美容室へ行っても若いスタイリストばかりなのは、こういった理由があるからなんですね。
低賃金で長時間労働が当たり前になっている
政府統計ポータルサイトe-Statの「賃金構造基本統計調査」によると企業規模10人以上の会社における理容・美容師の所定内実労働時間は177時間となっています。
この数値は、一般的に労働時間が長いとみなされている教師の仕事よりも長いです。
また、その労働時間の長さにもかかわらず「きまって支給する厳禁給与額」は約241万円にとどまることからも、低賃金長時間労働という、いわゆるブラックな状態になっていることがよくわかります。
つぶしが利かないので年を取ってからの他業種への転職は難しい
美容師という仕事は、いわゆる専門的な技能職です。
よく言えば専門性が高いですが、悪く言えばつぶしが利きません。
そのため、もし年をとってから体力的に辛くなってきたタイミングで、他業種への転職を考えても、受け入れ先がほとんどないのが実情です。
カットやシャンプーの技術は美容師業界でしか使いませんし、他の業界では応用しにくいでしょう。
応募企業からも即戦力とは思われにくいので、転職活動は厳しいものになりがちです。
美容師を辞めたくなる理由
労働時間が長くて給料も安い
それでは、なぜ美容師は仕事を辞めたくなるのでしょうか。
まず第一の理由は、先述したように、長時間労働低賃金であるという理由です。
いわゆる朝早く夜遅いの典型的な仕事で、忙しい日は昼休みを取る暇さえありません。
若い内の給与はとりわけ低く、アルバイトをしている方が稼げるほどです。
しかし、多くの人が「美容師」という仕事に憧れを抱いていることをいいことに、その憧れを餌に長時間働かせるものの、満足のいく給与を支給されていないというブラックな体質が未だに残っています。
閉店後も夜遅くまでカットの練習をしないといけない
先述した労働時間は、あくまで「仕事」としてカウントされている時間であり、もし仕事時間外にあくまで「自分のための時間」としてもし働いている場合は、カウントされていません。
美容師は、この「自分のための時間」が、若手であればあるほど必要になってきます。
それが、カットの練習です。
ほとんどの若手たちが、営業時間内にカットの技術を学ぶ時間を取れないため、閉店後にイソイソと夜遅くまでカットの練習をする必要があります。
一人前の美容師になるためには営業時間内に接客や、ベテランのサポートをしているだけではとてもではないですが時間が足りないのです。
そのため、結局朝早くから夜遅くまで働くことが避けられず、毎日満足な睡眠時間も取れない日々が続いてしまいます。
カット練習のウイッグなどは自腹で購入する必要がある
また、賃金が低いにも関わらず、こういったカットの練習に必要となるウイッグなどは自腹で購入しなくてはなりません。
ウイッグにかかる費用はカット量次第ですが、毎日練習する人などは月に3〜5万円ほどかかるそうです。
先述したように、年収は約241万円しかありません。
月換算で20万円ほどだとすると、その中から3〜5万円のカット練習費用を自腹で支払うというのは、生活的に非常に厳しいものです。
毎日、他の職種と比較しても長時間働き、せっかく稼いだお金が仕事関連の出費で4分の1も無くなってしまうと、心身共につらくなり辞めていくのも納得でしょう。
休日も研修や勉強会に駆り出される
美容師は、休日も休みがありません。
実は、美容師にも研修・勉強会というものが頻繁に開催されています。
美容師のカット技術も日進月歩の世界ですので、研修・勉強会に出て店以外の技術について学ぶ必要があるのです。
美容室は月曜日が定休日のことが多いですが、どこかの研修に駆り出されることが多いですね。
その結果、実質的に休みが無くなってしまうわけです。
職人気質のため先輩との上下関係が厳しい
これが外部の方から見ると最も意外だと思いますが、実は美容業界は上下関係がものすごい厳しいです。
その理由としては、先述したように美容師は専門性が高いため、どうしても職人気質の人が多くなるからですね。
職人気質となると、どうしても体育会系に似た環境になってしまい、経歴の長い人ほど偉いという上下関係が成り立ってしまうのです。
華やかで実力主義の世界というのはあくまで外から見た世界で、内情は職人気質の上下関係がガチガチというギャップに耐えきれずに辞めたくなる方も非常に多くなっています。
いじめがある職場も少なくないので、人間関係が難しい業界だといえますね。
手荒れがひどくてボロボロになる
また、身体的ダメージも如実に現れてくるのが美容師という仕事です。
特に、その中でも手荒れは避けられません。
毎日の水仕事でどのように予防しても手荒れでボロボロになるにも関わらず、それでも手を使う仕事がメインです。
カラーリングやパーマの溶剤も肌への刺激が強いため、肌が弱い人には辛い仕事でしょう。
新人のアシスタントの頃はタオルの選択などの雑用がメインですから、この時期にひどい手荒れに悩まされて辞めてしまう人が多いです。
立ち仕事で中腰になるので腰痛になってしまう
美容師の仕事のもう一つの特徴が、一日中立ちっぱなしであるということ。
立ちっぱなしというのは案外体力的にきついもので、これだけで身体的には相当な疲労が蓄積されます。
そこに畳み掛けるように中腰になることが多いため、腰痛という最も厄介な病気も抱え込むわけです。
腰痛は一度ひどくなるとなかなか治りづらく長期の治療が必要なのですが、多忙な美容業界であるため休む暇もなく、つらい腰痛とずっと向き合っていくしかありません。
中には立っていられないほど重症化するケースもあり、やる気があっても体がついてこないという状況になってしまいますね。
美容師を辞めたくなった時に考えること
美容師業界に残るならアシスタントで辞めるべきではない
美容師を辞めたくなったときは、本格的に退職手続きに入る前にいくつか考えておくべきことがあります。
まず一つが、もし美容師業界に残るならアシスタントで辞めるべきではないということです。
美容師にはアシスタントとスタイリストという役職があり、スタイリストは一人前の美容師、アシスタントはスタイリストの補助役だと思ってください。
もし美容師は辞めても美容師業界には残る場合、アシスタントで辞めてしまうとその後の見え方としては半人前で諦めた半端者というレッテルを貼られ、業界での地位も低くなってしまいます。
しかし、一旦スタイリストまで昇格して辞めておけば、業界からの見え方はぐっと良くなり、仕事もしやすいのです。
即戦力にもなるので、転職するにしても内定が決まりやすくなります。
スタイリストに昇格すればやりがいを感じられることもある
もしスタイリストに昇格するまで頑張れば、見える世界が全く変わってきます。
アシスタントはあくまで補助役でしかなく、お客さまと直接関わる時間も短ければ、自分の思ったようにできる業務の範囲も非常に狭いです。
しかし、スタイリストはお客さまに直接接する時間も長く感謝される機会も多くなります。
自分の持てる技術を自分の思ったように使う、つまり自分の持てる力を全て出しきって思い通りに仕事に向き合うことができるため、アシスタント時代には感じられなかったやりがいを大きく感じることができるのです。
業界を変えるつもりなら早目に辞めてしまった方が良い
もし美容師業界そのものに嫌気が指してしまい別業界に転身したい場合は、早めに諦めることをオススメします。
先述したように、美容師業界は専門性が高く潰しが利きません。
そのため、他業界に移ったときに、美容師業界での学びが活かせる業界が少ないため、早めに転職をしてしまった方がいいのです。
若いうちなら新しいスキルを習得できる時間がありますし、伸びしろがあるので他の業界へ転職できるチャンスはあります。
30歳を過ぎてからだと異業種転職は難しくなるので、美容師業界に見切りをつけるなら20代前半くらいで辞めるのが良いでしょう。
自分の市場価値を調べておく
仕事を辞める前に、自分が転職市場でどれだけ評価されるかを知らないといけません。
何も考えずに辞めてしまったら、いざ転職活動を始めた時に、想定以上に年収が下がることだってあるわけです。
自分のスキルや経験があれば、どれだけの求人があって、どれだけの年収が見込めるのかを調べておくようにしましょう。
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つまり、自分が転職するなら、どのレベルの企業に入ってどれくらいの年収をもらえるかが分かるわけです。
また、自分の情報を登録するだけで企業からオファーが届くので、書類選考をパスして確実に面接を受けることができます。
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美容師が転職で成功する方法
他のサロンへ転職するならスタイリストになってからにする
それでは、いざ転職を成功させるには具体的にどうすればいいのでしょうか。
まず、もし今勤めているサロンが嫌になったものの、美容師業界には残り続けようと決心した場合を考えてみましょう。
この場合、もしあなたがまだアシスタントであれば、やはりスタイリストになるまでは頑張った方が良いと思います。
先述したように、アシスタントで転職するのと、スタイリストで転職するのでは見え方も待遇も全く違ってくるからです。
一旦スタイリストになるまでは、何とか頑張り抜くことをオススメします。
美容師を辞めるなら接客経験を活かせる仕事が好ましい
美容師を辞める場合は、美容師経験を活かせる職種に転職をすることをオススメします。
美容師の経験が最も活かせると思われるのが、接客業についてですね。
美容師は老若男女問わず、様々な人を接客しなければなりません。
しかも、話を盛り上げる商材が何かあるわけではなく、切っている間に世間話やニュースなど、お客さまが興味を持ちそうな話題を選び、常に楽しませるような雰囲気を作る必要があります。
この接客スキルは、自覚している以上に高度で価値のあるものです。
そのため、その接客経験を活かせる仕事に就くことが他業界で活躍する可能性を高めるでしょう。
女性なら結婚や出産ができる職場を選ぶ
女性の場合は、これを機に長期的なライフプランも考えて職場を選びましょう。
もし結婚や出産をした場合、長時間労働は厳しくなりますし、産休などで長期的に職場を離れた場合、職場によっては産休ではなく退職を余儀なくされることもあります。
残念ながら、美容師業界で女性のライフイベントに対応できる職場は少ないです。
女性が多い業界なのですが、競合が多くて儲かっていない店舗が多く、そういった対応にまで手が回っていません。
なので、将来的に結婚や出産を考えているなら、他の業界へ転職したほうが良いと思います。
収入が少ないので仕事をしながら転職活動を行うべき
いくら転職熱が高いからといって、すぐに美容師の仕事を辞めてはいけません。
そもそも収入が少ないため、貯金を十分にできている人のほうが少ないでしょう。
この場合、もし退職をして転職活動を行ってしまうと、転職活動中の収入はゼロになり、すぐに生活が立ちいかなくなることが目に見えています。
生活が厳しくなると、余裕を持って転職活動ができなくなり、失敗する可能性が高いです。
ですから、いくら両立するのがつらくても、あくまで仕事を続けながら転職活動を行うことをオススメします。
退職するまでは仕事を完璧にこなし引き継ぎも正確に行う
最後に、転職先が決まってからの去り際も油断してはいけません。
退職とは、その仕事を続ける同僚に少なからず負担を掛けることになります。
自分が行っていた仕事はなくなるわけではなく、誰かが引き継がざるを得ないからです。
もう辞めるから関係ないではなく、去り際をしっかりしないと、自分の知らないところで悪い噂が立ち、将来的に思わぬところでしっぺ返しを食らうかもしれません。
美容師業界は狭いために、悪い評判は一気に広まってしまいます。
必ず最後まで油断せずに仕事をやりきり、引き継ぎも正確に行うことで、遺恨を残すこと無く綺麗に退職しましょう。
美容師からの転職は転職エージェントを利用しよう
これまで説明したように、美容師業界はブラックなので長く勤めるのは難しいです。
他の美容室へ転職したとしても、労働環境が変わらないことが多いですし、これまでよりも悪くなることだってあります。
また、美容師の仕事は専門性が高いために、他の業界には対応しにくいです。
異業種転職をする際には、応募先企業に合わせて自分が持っているスキルをうまくアピールする必要があります。
美容師が転職しようとすると、何かと不安要素が多いわけですね。
その場の勢いだけで転職すると失敗しますし、無駄に経歴を汚してしまうことになります。
そこで、転職エージェントを利用することをおすすめします。
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他の業界へ転職する際にも、美容師のスキルを活かせるように、自分に合った企業の求人を探してきてくれるわけです。
さらに、応募書類の作成や面接対策もしてくれるので、忙しくて時間が無い人でもスムーズに転職活動を進められます。
転職を成功させたいのであれば、転職エージェントを使うことは必須だといえるでしょう。
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