最近、会社に退職を申し出ても、認められないケースが増えているようです。
「辞められると仕事が回らない」「自分だけ辞めるのは無責任」など、色々な言い訳をつけて辞めさせないように仕向けられます。
酷い会社だと、「辞めたら損害賠償を請求するからな!」と、脅しをかけてくることもあるようですね。
ここまでくると脅迫行為で犯罪スレスレですから、何かしらの対策が必要になってくるでしょう。
でも、労働者としては立場が弱いために、会社の言いなりになってしまう人も少なくありません。
退職を諦めてしまって、その後も会社に残らざるを得ない人も多いと思います。
そういった不当な扱いを受けないために、法律に関する知識を付けておきましょう。
強引に退職を止められたとしても、それに従う必要はありません。
目次
会社が退職を認めないケースとは?
退職に伴うトラブルは増加傾向にあり、労働局や弁護士などへの相談件数も増え続けているようです。
相談内容としては、以下のようなものがあります。
- 「経営が傾いているのに何でお前だけ辞めるんだ」と言われた
- 離職票を発行してもらえないから失業保険を受けられない
- 「代わりが見つかるまで辞めさせない」と言われた
- 辞表を提出したが目の前でビリビリに破られた
- 「懲戒解雇にしてやる」と脅された
- 「辞められたら自分の評価が下がる」と上司に止められた
- 「退職するなら損害賠償を請求する」と金銭を要求された
身勝手な都合で、退職することを認めない会社が多いわけですね。
こういった会社は従業員のことを考えていないので、サービス残業の強要や有給休暇の取得拒否などが日常的に行われています。
過酷な環境での仕事を続けたことで、精神的に追い詰められてうつ状態になる人も少なくありません。
ボロボロになるまで使われて、社会復帰が困難な状態にされてしまうわけです。
それだと会社を辞められたとしても、その後の人生がメチャクチャになってしまいます。
なので、手遅れになる前に、退職できるようにしないといけません。
退職を認めないのは会社の違法行為である
日本国憲法では、「職業選択の自由」が定められています。
誰にでも仕事を選ぶ権利があるため、退職や転職をするのは自由なんですね。
会社側には、それを留める権利はありません。
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
引用:日本国憲法 第22条第1項
退職に関する規定は、民法に定められているので理解しておいてください。
雇用期間の定めがない場合
通常の正社員であれば、雇用期間の定めはありません。
自分が退職を申し出たり、会社から解雇されない限りは、雇用契約は続きます。
こういった場合は、自分が退職の旨を会社に伝えれば、2週間後に退職できることになっています。(民法627条)
ここでのポイントは、退職するときの理由が必要ないということですね。
自分が辞めたければ辞められるので、「飽きたから」といった理由でも認められるということです。
ただ、会社には就業規則が設けられていることが多いです。
「退職時には、最低1ヶ月前には申告すること」といった規定があると思います。
法的には就業規則を守る必要はないのですが、円満に退職するのであれば会社の方針に従った方が良いでしょう。
会社た退職を認めないときには、自分から一方的に退職を突き付けて辞めてもかまいません。
雇用の期間が決まっている場合(1年以内)
契約社員などは、雇用の期間が決まっているのが一般的ですよね。
半年とか1年とか、定められた期間内で雇用契約を結んでいるはずです。
この場合は、契約が満期でないと辞められないのですが、「やむを得ない事由」があるときは退職できることになっています。(民法628条)
やむを得ない事由とは、以下のようなものです。
- 約束していた労働条件と異なっていた
- 怪我や病気で仕事が続けられない
- 介護や育児などの家庭の事情によるもの
- パワハラ・セクハラの被害を受けていた
さらに、やむを得ない事由が会社側の一方的な過失によるものであれば、会社に対して損害賠償を請求することができます。
長時間労働で体を壊してしまったり、セクハラ・パワハラで精神的苦痛を受けた場合には、賠償金を受け取れる可能性がありますね。
雇用の期間が決まっている場合(1年以上)
雇用期間が1年以上の契約の場合は、働いた期間が1年以上経過した時点で退職することが認められます。(労働基準法137条)
会社の許可が無かったとしても、一方的に辞めることができるんですね。
ただ、これには例外があって、高度な専門知識を有する方や60歳以上の方は除外されています。
高度な専門知識を有する方とは、以下のような人ですね。
- 博士号などを持っている人
- 医師や弁護士、公認会計士など
- 特許などの権利を有する人
こういった知識がある人が急に辞めると会社に損失が出るので、一方的な退職は認められないことになっています。
会社としっかり相談した上で、退職を決定しなくてはいけません。
一方的に辞めても損害賠償は請求されない
退職時に揉めるケースとしては、上司から「辞めたら損害賠償を請求する」と金銭を要求されることがあります。
この脅し文句に負けてしまって、退職を諦める人もいるわけです。
でも、そのような脅しを受けたとしても、屈する必要はありません。
労働基準法においては、従業員が退職したことで、賠償金や違約金を請求してはいけないと定められています。
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
引用:労働基準法 第16条
上司は脅し文句として言っているだけですから、毅然とした態度で退職の旨を伝えるようにしてください。
故意による重大な過失がなければ賠償金の請求自体が違法ですし、仮に訴えられても裁判で認められることは無いでしょう。
懲戒解雇なども対象外となる
損害賠償と似たようなケースで、「懲戒解雇にするぞ!」といった脅し文句を言われることもありますね。
懲戒解雇だと今後の転職に影響するので、ビビってしまうかもしれません。
でも、懲戒解雇とは重大な違反行為を行ったものに対する制裁なので、退職しただけで適用されることは無いでしょう。
不当に懲戒過去をされた場合には、裁判をすれば撤回させることができます。
これも単なる脅しなので、本当に懲戒免職になることはほとんどありません。
上司は法律に関して無知であることが多いですから、こちらが法的な知識武装をしていれば怖くはないはずです。
仕事が辞められないときの4つの対策
会社の就業規則を確認する
まず最初にやるべきことは、会社の就業規則を見るということです。
会社によって退職までに要する日数や手続きが異なるので、それらを把握していないといけません。
法的には2週間前に伝えれば良いのですが、社内の手続き上で認められないということも多いです。
引き継ぎにかかる日数や繁忙期なども考慮して、可能な限りは会社に合わせる姿勢を持つことが大切でしょう。
上司からの引き止めを防ぐために、納得できる退職理由を用意しておきましょう。
明確な理由があれば、退職を認めてくれる可能性が高いです。
円満に退職するコツとしては、「上司に引き止められない退職理由の考え方」を参考にしてください。
書面で退職届を提出する
上司に口頭で退職を伝えても反応がないなら、退職届を作成して会社に提出しましょう。
提出する日付と名前を書いて、「○月○日をもって退職します」と明記してください。
受け取りを拒否されたなら、内容証明郵便で送付します。
内容証明郵便とは、手紙の内容を郵便局が証明してくれるものです。
退職届を会社が受け取ったという証拠を残すことができるので、それをもって退職の意思を伝えたことになります。
その日から2週間後には、法的にも退職しても良いということですね。
行政機関へ相談する
内容証明郵便を送っても、退職を認めてくれないことがあります。
離職票の発行を拒否したりして、無理やりに在職させようとするわけですね。
そういった時には、話し合いをしても意味が無いので、労働基準監督署へ相談をしましょう。
管轄の監督署へ退職が認められないことを相談すれば、会社に対して何らかの指導をしてくれます。
外部機関からの指摘があれば、大抵の会社では退職を認めるはずです。
労働基準監督署へ相談しても進展がない場合は、その上の機関である労働局へ相談しましょう。
労働局からも会社へ指導してくれますし、専門家が間に入って労働者と会社の話し合いの場を持ってくれます。
弁護士に相談して法的な手続きを取る
行政機関の仲介でも効果がないなら、最終手段として弁護士に相談しましょう。
労働問題に詳しい弁護士に依頼すれば、損害賠償の請求を拒否したり、離職票などの作成を会社に求めることができます。
裁判になれば会社は勝てる見込みがないため、弁護士を出すことでアッサリと解決する可能性が高いです。
それなりに費用が掛かってしまいますが、どうしても解決できないならば弁護士に頼ってください。
転職エージェントで円満退職のサポートをしてもらおう
会社を辞める前には、先に転職先を見つけてからにしてください。
次の会社が決まっていれば、上司からも引き留められにくくなるからです。
そして、転職活動をするときには、転職エージェントを利用することをおススメします。
転職エージェントでは、求人の紹介から面接対策までやってくれるので、かなり効率良く転職活動を進められますね。
受けられるサポートは、以下の通りです。
- これからのキャリア相談
- 求職者に適した求人の紹介
- 企業に合わせた応募書類の作成・面接対策
- 面接スケジュールの調整
- 給与や待遇などの条件交渉
- 面接結果のフィードバック
また、円満退職のサポートをしてくれることはあまり知られていません。
会社を辞めるときにトラブルになりがちなので、それを防ぐための方法を教えてもらうことができるんですね。
労働基準法などの法律にも詳しいですから、会社が違法行為で引き留めようとしてきても対抗することができます。
強引な引き留めに泣き寝入りしてしまう人が多いですが、プロのサポートがあれば負けることはありません。
かなり心強い味方ですから、転職エージェントを活用しましょう。
以下のエージェントは、実績が豊富でサポートの評判も良いです。
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マイナビは、1973年に創業された人材サービスを主業務とする会社です。
人材業界ではかなりの老舗企業なので、取り扱っている業種や求人量は業界でもトップクラスとなっています。
特徴としては、20~30代の転職サポートに強いことですね。
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業界ごとに専任のキャリアアドバイザーがいるので、専門的な情報を得ることができるでしょう。
また、企業の人事担当者とやりとりするアドバイザーもいますから、職場ごとの雰囲気なども掴むことができます。
かなり評価の高いエージェントなので、登録しておいて損はありません。