最近の転職活動においては、転職エージェントを活用することが一般的になってきました。
専門のキャリアアドバイザーが、転職のサポートをしてくれるサービスですね。
あらゆるサポートをしてくれるので、初めての転職や忙しくて時間が無い人にはぴったりのサービスだといえるでしょう。
しかし、転職というプライベートな事柄を扱う性質上、口コミなどの内情はほとんど表に出てきません。
そのため、怪しいサービスなのだと誤解している人も多いですね。
でも、決して怪しいものではなく、本当に利用価値の高いサービスです。
ここでは、転職エージェントのすべてを紹介するので、知らない人は参考にしてみてください。
目次
転職エージェントとは何なのか?
転職エージェントは、厚生労働大臣の認可を受けた職業紹介事業者で、「人材を求めている企業」と「職を探している個人」の橋渡しをする役割があります。
つまり、企業と個人との間に入る中間業者であり、双方のニーズを聞いたうえでお互いが納得できるような交渉のサポートをするわけです。
企業に対しては求めているスキルを持っている人材を紹介し、個人に対してはやりたい仕事が実現できる求人を紹介することになります。
両者がWIN-WINになるように動いてくれるので、非常にありがたい存在だといえますね。
企業に対する提案
企業に対しては、ニーズに合った人材が集まるように、最適な求人票の作成サポートなどのコンサルティングを行います。
募集の仕方によって集まる人材が大きく異なるので、ミスマッチを防ぐための提案をするわけです。
入社が決定するまでサポートしてくれますから、企業からすると採用コストを大きく減らすことができます。
そして、無事に人材が獲得できた企業は、その人材の年収の20~35%相当の手数料を転職エージェントに支払う仕組みです。
100万円以上の高額な手数料ですが、応募者の選定などの手間を考えれば、決して高くはありません。
転職サイトなどから募集すると、数百件の応募が集まることがあります。
それらの書類選考だけでも大変ですし、面接まで行ったとしても、必ず欲しい人材がいるとは限らないですよね。
だから、転職エージェントから紹介してもらった方が、確実に人材が集まるということです。
求職者に対する提案
転職希望者に対しては、求人の紹介から面接のセッティングなど、転職にかかわるあらゆる作業を代行してくれます。
主なサービスは、以下の通りですね。
- 将来のキャリアに関する相談
- 希望条件に合う求人の紹介
- 応募書類(履歴書・職務経歴書)の添削
- 面接日時のスケジュール調整
- 内定時の条件面での交渉代行
- 現職場の退職時のサポート
転職エージェントでは、数千~数万の求人情報を保有しており、ニーズに合った求人を紹介してくれるわけです。
企業と求職者の両方のニーズを把握しているエージェントなので、最適なマッチングを実現することができます。
しかも、手数料は企業側が支払っていますから、求職者はすべてのサービスを無料で受けることができるんですね。
転職エージェントを利用するメリット・デメリット
かなり便利なサービスですが、もちろんメリットとデメリットの両方があります。
これらを理解しておかなければ、思うような転職ができない可能性があるので注意しましょう。
メリット
- 非公開求人を紹介してもらえる
- 自分の強みを知ることができる
- 転職活動における手続きを代行してもらえる
- 企業の社風や人間関係などの内情を知ることができる
- 面接のシミュレーションをしてくれる
- 採用担当者へ推薦してもらえる
- 待遇の交渉を代行してくれる
- 円満退職のためのサポート
- 不採用の理由を知ることができる
最大のメリットとしては、非公開求人の情報が得られるということです。
一般には公開されていない情報なので、他に応募しているライバルが少なく、必然的に内定率が高くなります。
幹部候補などの重要ポストほど非公開で募集する傾向にあるので、転職を機にキャリアアップが期待できるかもしれません。
また、キャリアアドバイザーによるカウンセリングもポイントですね。
転職のプロが客観的な目で求職者を診断してくれるので、隠れた強みや向いている職種などを見つけることができます。
特に、自分に向いている仕事が分からない人や今後の方向性に悩みがある人は、キャリアアドバイザーに相談することで自分の市場価値を客観的に知ることができるでしょう。
今までの仕事で培ってきたスキルや経験が、他の業種でも活かせるかもしれません。
自分では価値のないスキルだと思っていても、業界・業種が変わると高い価値を持つことがあります。
そういったことはプロに聞かないと分からないので、キャリアアドバイザーに相談する利点は十分にあるでしょう。
最新の業界動向や過去の転職者のデータなどから、精度の高いカウンセリングが期待できますよ。
デメリット
- 身の丈以上の転職が難しい
- 地方の求人には対応しない場合が多い
- キャリアアドバイザーとの面談が必要になる
- エージェントの都合で求人を決定されるケースがある
- 必ずしも求人が紹介されるとは限らない
- キャリアアドバイザーのスキルに差がある
- 直接応募に負ける可能性がある
- 内定後にプレッシャーを掛けられることがある
デメリットとしては、応募できる企業のレベルに上限があることですね。
転職エージェントでは、求職者のキャリアやスキルによってレベル分けをしています。
そして、そのレベルに応じた求人情報を紹介するわけです。
自分ではもっと上の企業に挑戦したい場合でも、紹介してくれないことがあります。
求職者に内定を取らせることを目的に動きますから、確実性の高い求人のみに絞られる傾向にあるんです。
また、企業から内定をもらった後は、十分に検討する時間が与えられない場合があります。
入社が完了しないとエージェントの手数料が入らないので、アドバイザーの実績にならないからですね。
押しに弱い人だと、よく考えないまま入社を決めてしまうかもしれません。
後で後悔しないためには、自分の意思で決定するという気持ちが大切ですね。
第一志望でない企業を勧められたら、断固として断る勇気を持たないといけません。
転職エージェントを利用するときの流れ
業者によって若干の違いがありますが、転職エージェントの流れは以下のようになります。
- エージェントに登録する
- 担当者からの連絡(面談日時の決定)
- 面談でのキャリア相談
- 求人の紹介
- 応募書類の添削・面接対策
- 内定後のサポート
- アフターフォロー
やりたい仕事が決まっているとしても、初めての転職だったら全体的な流れなども分かりませんよね。
知識がなければ今後の転職活動の進め方に不安を感じると思いますが、そういった場合も転職エージェントは役に立ちます。
担当のキャリアアドバイザーが付いてくれて、必要な手続きや準備などをすべて代行してくれるわけです。
なので、自分では何もしなくても、勝手に転職活動が進んでいきます。
自分がするのは面接を受けることくらいなので、遅くても3ヶ月以内には内定がもらえるはずです。
でも、何でもアドバイザー任せにしていると、理想的な企業には巡り合えないかもしれません。
自分の考えを積極的に発言しないと、本当のニーズがアドバイザーに伝わらないからです。
キャリアアドバイザーに任せっきりだと、的外れな求人しか紹介されないでしょう。
アドバイザーの立場からしても、自分の意見をどんどん言ってくれる人の方が、マッチした求人を紹介しやすくなります。
遠慮する必要はないので、図々しいほどに発言したほうが良いですよ。
転職活動は自分のものですから、アドバイザーは補助でしかありません。
だから、自分主体で活動できるように、積極的に要望を伝えてアドバイザーに動いてもらうようにしてください。
転職活動の流れを作るのは、自分自身だということを覚えておきましょう。
転職サイトとの違いは何か?
転職エージェントについて考える時に、転職サイトとの違いは何なのかという疑問を持つ人がいるかもしれません。
どちらも、転職するときに利用するサービスですから、混同してしまいがちだと思います。
主な違いとしては、下の表の通りです。
転職エージェントの特徴
転職エージェントでは、キャリアアドバイザーと二人三脚で活動していくことになります。
キャリアの相談や求人の紹介、応募書類の添削や面接対策など、かなり手厚いサポートを受けることができるわけです。
転職活動における秘書を持つような感じですね。
自分で計画を立てるのが苦手な人や一人で活動するのが不安な人には、転職エージェントは最適なサービスだといえるでしょう。
ただし、かなりスピーディーに進んでいくので、心の準備ができていないと面食らってしまう可能性があります。
アドバイザーに言われるがままに行動していると、自分の意思とは違った会社に入社してしまうかもしれません。
また、キャリアアドバイザーとの相性も大切ですね。
やはり人間同士なので、合う合わないの問題は付きまといます。
なんとなく話しにくい、いまいち信用できない、言葉遣いが失礼など、担当してくれたアドバイザーに不満が出る場合がありますね。
自立心が強くて他人から指図を受けたくないタイプの人は、転職エージェントに登録しても満足のいく結果が得られないかもしれません。
相性の悪いアドバイザーなら変更してもらうか、そもそもエージェントに頼らずに転職活動を進めるかを選ぶ必要があるでしょう。
転職サイトの特徴
一方、転職サイトは、自分一人で活動していくタイプとなります。
サイト内で求人を検索して、好きな企業に応募するわけですね。
大手のサイトだと10万件以上の求人情報がありますから、選択肢はかなり広いといえるでしょう。
誰かがサポートしてくれるわけではありませんが、自分のペースで転職活動を進められるメリットがあります。
転職エージェントだと、スピーディーに活動することができる反面、行動を急かされることも多くストレスになるかもしれません。
今の仕事に大きな不満がないのなら、自分だけで転職活動を進めた方が良い場合もあるわけです。
空き時間にサクッと検索すれば、どんな求人があるのかも一目で分かります。
転職市場の動向を掴むこともできますから、まずは登録だけしてみてください。
マイペースで活動したほうが自分を見つめ直す時間を取ることができますし、急ぎすぎて失敗するリスクも防ぐことができます。
「転職しない」という選択をすることも可能ですし、確固たる意志が固まっていないなら転職サイトから始めるのが正解でしょう。
転職エージェントは必要なのか?
ネットのビジネスブログなどでよく見られるのが、「転職エージェントなんて必要ない!」といった意見です。
自分で転職サイトを見て応募した方が良いと書かれていることがあります。
なぜこんなことが言われるのかというと、企業からすると紹介料が高額なのでエージェント経由の応募者は採用しづらいという理由のようです。
これは本当なのでしょうか?
大手への転職ほどエージェントが有利になる
大手の大企業であれば、余計なコストを支払ってでも転職エージェントを利用する傾向が強いです。
最近は採用難になってきているので、大手であっても人材の確保に苦戦しているからですね。
少子化の影響で新卒採用が細くなっているため、中途採用で有力な人材を確保しようとする企業が増えています。
だから、ニーズに合った人材を見つけてくれる転職エージェントは、採用企業からすると嬉しい存在なんです。
転職エージェントだと企業の担当者に推薦してもらえるため、競争の激しい大企業ほど有利に選考してもらえます。
そもそも、大企業の求人は一般公開されないことがあり、エージェント経由でないと応募すらできないことも多いです。
大手への転職を考えているなら、エージェントを使う意味はありますよ。
小さない会社なら自分で応募した方が良い可能性も
もしも、中小零細企業への転職を考えるなら、エージェントを利用しないで転職サイトから応募した方が良いかもしれませんね。
小規模の企業だと採用コストを掛けられないので、転職エージェントを使うよりも独自に応募してきた人を優先する可能性があります。
小さな会社は高額な手数料を嫌いですから、エージェントを利用しないわけです。
ただし、そういった会社だと求人を出す費用すら節約しており、転職サイトにも情報が無いケースも多いでしょう。
会社のホームページにしか採用情報が無かったりするので、見つけるのに苦労するといった側面もありますね。
このように、自分が目指す会社の規模に応じて、適切な応募方法は異なるわけです。
どの方法が適しているかを考えてから、応募してみてください。
どんな転職エージェントを選べばいいのか?
エージェントのタイプを知る
転職エージェントには、「総合型」と「特化型」の2つのタイプがあります。
総合型とは、業界や職種に関係なく、あらゆる業種の求人を集めているタイプです。
数万社の企業とのやり取りがあるため、大手の人材紹介会社が運営しています。
ネームバリューがあるので、安心して利用することができるでしょう。
バラエティーに富んだ求人が揃っているので、異業種への転職をするときにも対応することができます。
ただ、アドバイザーの知識は広く浅いために、専門性の高い業種になると的確なアドバイスが受けられないかもしれません。
広い視野で求人を集めたい時には、総合型のエージェントは適しているといえるでしょう。
一方、特化型のエージェントは、特定の業種に絞って求人を扱っています。
専門特化しているので求人数は少ないですが、それだけ内容の濃いサポートが受けられます。
たとえば、IT系の求人を探したい時に、特化型のエージェントでは「Ruby専門」「JavaScript専門」といった感じでアドバイザーが揃っています。
総合型のアドバイザーだと、「プログラミング担当」のアドバイザーなので、個別の言語に関しては詳しくなかったりするようです。
自分の進みたい分野が明確な場合には、特化型のエージェントを利用したほうが良いですね。
最も大切なのはアドバイザーとの相性
転職エージェントを選ぶ時には、キャリアアドバイザーとの相性を重視してください。
どれだけ大手のエージェントであっても、アドバイザーが自分に合っていないと満足のいくサポートは受けられません。
やはり、話しやすい人なのかどうかは重要ですね。
自分のキャリアや将来の夢など、プライベートな内容を相談するわけですから、信頼できそうな人を選ぶようにしましょう。
基本的な礼儀ができていなかったり、説教口調で偉そうな人なら、相談しても良い結果にはならないと思います。
また、アドバイザーによって、得意分野が異なります。
たとえば、ポストコンサルタントなどの幹部候補の求人が得意、高卒フリーター向けの求人が得意、35歳以上のシニア層の求人が得意といった感じです。
ニーズに合わない担当者だと意味がありませんから、どういった転職がしたいのかを明確に伝えてください。
エージェントに登録すると最初に面談があるので、その際に自分の要望をすべて伝えるようにしましょう。
それだけやっても、合わない担当者に出会うことはあります。
なので、納得できないのであれば、すぐに担当者の変更をお願いしてください。
担当替えは気が引けるかもしれませんが、自分の一生が掛かっている問題です。
どこのエージェントでも対応してもらえるので、遠慮せずに代えてもらうようにしましょう。
変更後にまた合わない担当者になったなら、他のエージェントを使った方が良いですね。
基本的には、複数のエージェントに登録して、どこが良いのかを比較してください。
最良のエージェントを見つけるための方法
転職エージェントを選ぶ時の3ステップを紹介します。
- 総合型の転職エージェントで市場動向を探る
- 特化型の転職エージェントで自分の強みを知る
- 自分に合うアドバイザーを選択して相談する
以上のプロセスを踏むことで、自分にとって最良のエージェントが見つかるはずです。
まず最初に登録するべきなのが、総合型の転職エージェントですね。
幅広い情報を集めることができますし、最新の転職市場の動向を探ることもできます。
キャリアカウンセリングを受けることで、別の業界で自分のスキルを生かせることに気付くかもしれません。
自分の可能性を探るためにも、総合型のエージェントでキャリア相談をしてみてください。
次に、特化型のエージェントにも登録する必要があります。
自分が興味のある分野に特化しているエージェントでは、アドバイザーの専門性も非常に高いです。
かなり専門的でマニアックな求人もあるので、高いマッチングが期待できます。
その業界については何でも相談に乗ってくれますから、分からないことはトコトン聞いておきましょう。
総合型と特化型のキャリア相談を受ければ、転職における疑問点の多くは解決されるはずです。
そして、その中で話しやすいアドバイザーも見つかったら、その人の下で本格的に転職活動を開始してください。
そうすれば、転職を成功させることができると思います。
転職エージェントを利用するときの注意点
転職エージェントを利用するときには、必ず複数の業者に登録してください。
1社だけで済まそうとすると、自分に合っているかどうかが分からないからです。
先述したように、転職活動で重要なのは、自分に合ったアドバイザーに出会えるかどうかです。
相性の悪いアドバイザーだと、見当違いな提案をされるかもしれません。
それを信じて転職してしまったら、自分のキャリアに傷が付くことになります。
そういったミスを防ぐために、複数のエージェントに登録をして比較しないといけません。
色々なアドバイザーと実際に話してみて、誰に任せるべきかを選ぶことが望ましいわけですね。
少し面倒かもしれませんが、最低でも2~3社に登録しておいてください。
これが転職の成否を分けるので、絶対に覚えておくべきことです。
おすすめの総合型の転職エージェント
リクルートエージェント
業界最大手のリクルートエージェントです。
人材業界で50年以上もの実績があるため、全国の様々な企業と太いパイプを築いています。
保有している求人の90%が非公開となっており、その数は10万件以上です。
業界でもトップクラスの求人数ですから、自分に合った企業と出合える可能性は高いでしょう。
また、キャリアアドバイザーの質が高いのも特徴ですね。
全国に470名のアドバイザーが在籍しており、各業界・業種に精通している人材が豊富です。
最新の業界情報や転職動向にも詳しいですし、過去に膨大な転職実績もあるので、的確にキャリア相談に乗ってもらえます。
土日祝や平日20時以降も対応可能なので、仕事が忙しくても利用できますよ。
リクルートエージェントは、確実に登録しておいてください。
転職エージェントを最大限に使い倒すための秘訣
転職エージェントでは、数百~数千の求職者を常に抱えています。
キャリアアドバイザー1人当たり、数十人の求職者を担当している計算ですね。
それだけの人数を対応するわけですから、すべての人に平等に接しているわけではありません。
転職エージェントもビジネスなので、利益に直結する人を優先的にサポートしようと考えています。
利益に直結する人とは、「すぐに内定が決まりそうな人」のことです。
求職者の入社が完了すると採用企業から報酬が発生するので、内定が出ないことには利益を出すことができません。
だから、内定が出そうな人をフィルタリングして、優先的に対応しています。
内定が出そうな人の特徴は、以下の通りです。
- 転職の意思が明確である
- 素直でビジネスマナーを心得ている
- 市場価値の高いスキルを持っている
つまり、上記の項目をアピールすれば、アドバイザーの目に留まりやすいといえますね。
明確な転職の意欲を示したり、明るくハキハキと対応したり、自分の強みをアピールしたりしましょう。
当たり前のことですが、意識的にやっている人は相当少ないです。
こういった心がけをしていれば、手厚いサポートが受けられますし、転職に成功できる可能性も高くなると思いますよ。
以上、転職エージェントについて解説をしました。
初めてエージェントを利用する人だと、よく分からないサービスなので不安に感じると思います。
でも、このページを読むだけで、不安は払しょくされるはずです。
転職活動において不可欠なサービスですから、ぜひ使ってみてくださいね。